太陽を抱く夜〜Prologue1〜(1/3)
〜みのりSIDE〜
JADEの夏輝さんと出会って、付き合い始めてから一年と少し。
私達の交際は至って順調だった。
だけど。
「もう二週間かあ……」
今、夏輝さんはJADEの新アルバム製作のため、メンバーやスタッフと一緒にホテルに滞在している。
たまにメールのやり取りをするくらいで、声はしばらく聞けてない。
一方の私も、分刻みのスケジュールに追われる毎日だった。
今日はもうすぐ撮影が始まる連ドラの打ち合わせのため、テレビ局にやって来ている。
主演の私は番宣の仕事もあって、最近はオフもまともに取れない状態が続いていた。
「‥‥‥‥‥」
『仕事』なんだから仕方ないって事は分かってる。
それでも。
分かっていたって、寂しいものは寂しい。
(もういっそ夢でもいいから、夏輝さんの笑顔が見たいよ‥‥)
最近の私は、鳴らない携帯を手に夏輝さんを思うのがすっかり日課になってしまっていた。
『みのり、お互いの仕事が落ち着いたら、二人で旅行にでも行こう?行きたい所、考えておいて?』
夏輝さんがホテルに泊まり込む前日、歌番組で共演した時にこっそり耳打ちしてくれた。
その時は夏輝さんとの楽しみな約束が、ただ嬉しかった。
だけど今、そのための我慢は本当に辛くて。
しかも、もうしばらくこの状態が続くかと思うと、テンションだって上がる訳がない。
おまけに―。
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