キスより甘く囁いて(2/4)
しばらくして、ずっと黙って私を抱きしめていた秋羅さんがぽつりと呟く
「でも、これでみのりと次に会えるのは11日なんだよな‥‥まだずいぶん先だな」
「秋羅さん? あれ、顔があか‥‥‥‥ひゃっ!?」
何処か寂しそうな声にふっと秋羅さんの顔を見上げるのと同時に、ちゅっと音を立てて柔らかな感触が額に触れてくる
「‥‥‥っ!!」
それはやがて、額からこめかみ、頬から唇へと移動して
「さすがに本番前に痕は付けられない、か」
そう言いながら、うなじを指先でスッと撫でられて
「あ‥‥‥や、ぁっ」
「だから、残念だけど今日はお預けだよ?」
そのまま、私は顔も上げられないくらい強い力で抱きしめられた
「まったく、自分の誕生日を楽しみに待ち侘びるなんて、俺もいい歳して何やってんだろうな」
「‥‥‥‥」
自嘲気味に言う秋羅さんの横顔は、けれど何処か楽しそうだった
(今日の秋羅さん、意地悪なのは一緒だけど‥‥‥何て言うか、いつもより‥‥)
自分の想像に、堪え切れなくなって思わず噴き出すと
「こら、笑うな」
と頭を軽く小突かれた
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