二人で紡ぐ未来へ(4/5)
ゆっくりと歩きながら、からめた指に少し力を込めると、みのりちゃんはすぐに握り返してくれた。
「空気が澄んでピーンと張り詰めた感じで、気持ちがいいですね」
「うーん、でもライブでほてった体にはちょうどいいかな」
穏やかな会話が続いていく。
こんなにゆったりとした時間を過ごすのはいつ以来だろう。
それに、みのりちゃんの、自分のそれよりもずっと細くて華奢な指先は、とても心地よくて安心出来るあたたかさだった。
みのりちゃん、きみは今、確かに俺の隣にいてくれる。
ずっと前、ミヨが星になった夜に一人で見た景色を今日はみのりちゃんと二人で見てる。
ミヨを忘れる訳じゃない。
あの頃の自分とミヨがいたから、今の俺がある。
だけど、ミヨの為と言いながら、また失ってしまうかもしれないという恐怖から大切な存在を作らない様にしていたこれまでの俺。
これからはきっと大丈夫。
みのりちゃんが隣にいてくれるから。
きみと二人で、歩いていきたいと、思う。
俺は、目の前に広がった夜景に見入るみのりちゃんを背中からぎゅっと抱きしめた。
「!………夏輝さん?」
ヒンヤリした空気の中、お互いの体温だけを感じる。
「愛してるよ」
耳元でささやくと、みのりちゃんが俺の腕の中でビクッと体を震わせて、俺の顔を見上げる。
その顔は、暗闇の中でも分かるほど赤くなっている。
まあ、それは俺も同じなんだろうけど。
「夏輝さん?」
ここできみに伝えたかったんだ。
これは、俺の誓い。
あの日から、立ち止まったままだった俺の心。
みのりちゃんは、そんな俺の背中を押してくれたから。
だから。
俺は今日から、未来に向けて歩き出せる。
そして。
その俺の隣には、みのりちゃんにいて欲しいから。
「……………俺と結婚、して下さい」
………うなずいて、くれるよね?
→あとがき
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