Precious・後編(4/5)
「みのりちゃん、本当にごめんね? ミィの奴が‥‥」
ため息をつきながら頭を下げる俺に、みのりちゃんはふわりと笑った
「気にしないで下さい‥‥今日は夏輝さんが早く帰ってきてくれたから、きっとミィちゃんも遊んで欲しかったんですよ」
「いや、だとしても‥‥」
っていうか、よりによって俺が貰ったプレゼントで遊ぶなんて‥‥
やっぱりミィには後でもう一度言い聞かせておこう、とひそかに決意する
「ふふ、小さい子供がお父さんに甘えたがるのと同じようなものですよ」
「‥‥‥そう、かな?」
「はい、まー君も小さい頃は構って欲しくてわざとイタズラしたりしてましたから」
そう言ってミィに笑いかけるみのりちゃんに、俺はなぜか胸の奥がちりちりと焼けるような感覚を覚えた
(何か、俺よりみのりちゃんの方がミィの事分かってるっぽい? しかもこれじゃまるで‥‥‥)
だが、モヤモヤした感情をそのまま見せるのも、何だか悔しい気がして
「じゃあ、さ‥‥」
「え?」
俺は、みのりちゃんの耳元で意味深な声色で囁いた
「早いところ世話の焼ける子供を寝かしつけて、今度こそ二人っきりで大人の時間を過ごそうか? ―――お母さん?」
「な‥‥‥っ!?」
ミィを胸に抱き抱えたまま首筋まで真っ赤になるみのりちゃんの唇にちゅっと音を立てて口づける
「今日は俺の誕生日だし、ワガママ言ってもいいよね?」
「し、知りませんっ!」
「えー、どうしてもダメ?」
「うにゃ?」
―――顔を真っ赤にして口をパクパクさせるみのりちゃんとにっこり笑う俺を、ミィはきょとんとした顔で見上げていた
このあと
俺達はもう一人、新しい『家族』を迎える事になる
でもそれは
もうちょっとだけ、先のお話―――
―END―
⇒あとがき
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