二人で紡ぐ未来へ(3/5)
ライブハウスの駐車場に一台だけぽつんと残されていた俺の車へ、みのりちゃんを促す。
「少しドライブしようか」
みのりちゃんがコクン、と頷くのに軽く笑みを返して、俺はハンドルを切った。
街の高台にある公園は、昼間は地域の人達で賑わっている。
だけど、もうじき日付が変わるこの時間では、さすがに誰の姿もない。
「この公園、落ち込んだ時とか一人になりたい時にいつもくるんだ」
みのりちゃんがチラッと俺を見る。
「夏輝さんの大事な場所に、私がお邪魔していいんですか?」
みのりちゃんの声が静かに響く。
彼女が俺の事を気遣う様に見つめているのを感じる。
落ち込んだ時、一人になりたい時。
それが「いつ」の事を指しているのか−。
ふっと俺の口許に笑みが浮かぶ。
今日は俺もみのりちゃんも普段よりずいぶん口数が少ない。
だけど、それを気まずいとは思わなかった。 車を降りて、寄り添って手をつないで、公園の一番奥にある展望台へゆっくりと二人で歩いて行く。
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