Precious・前編(3/3)
「みゃーう」
ミィちゃんは甘えるように鳴きながら、私の足に体を擦り寄せてくる
(び、びっくりした‥‥)
私が準備している間は、ずっと他の部屋でおとなしくしてくれていたけど
しきりに鼻をひくひくさせているのを見ると、どうやらケーキの甘い匂いに惹かれてやってきたようだった
私がキッチンからリビングに移動すると、小さな体もトコトコと付いてきて
「ふふ、ミィちゃんもお腹すいたの? すぐに夏輝さんも帰ってくるから、もうちょっとだけ待ってようね?」
じゃれついてくるミィちゃんを抱き上げると、小さな舌にペロッと鼻の頭を舐められた
「――っ!?」
「うにゃあ」
「‥‥ふふ」
不満そうに鳴くミィちゃんを抱いたままソファに腰を下ろして、その小さな背中を撫でる
「そうだね、本当に待ち遠しいね」
「みゃうん」
夏輝さんを待ちながら流れる時間は、とても暖かくて優しい
―――夏輝さんの笑顔を思い浮かべて、私はそっと目を閉じた
―前編・みのりSIDE END―
⇒後編・夏輝SIDEに続く .
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