私の好きなヒト(6/7)
「親父から俺の昔の話聞いて、ガッカリした?」
我ながら、意地の悪い聞き方だと思った。
「えっ……! そ、そんな事………夏輝さんに幻滅するなんて、そんな事ありえません!」
生真面目な性格のみのりちゃんは俺の顔を見返して、キッパリと言い切る。
その言葉が本心からのモノだと分かるから、俺の顔にも自然と笑みが浮かんた。
だけど。
その素直さに、少しだけ悪戯をしてみたい気分にもなる。
「じゃあ、どう思った?…昔の俺の話聞いて、俺の事どう思う?」
「……夏輝さん?」
みのりちゃんの顔が目に見えて赤くなって、落ちつかなげに視線をさまよわせる。
「みのりちゃん?どうしたの?」
無意識に逃げようとした彼女の、手首をつかんだ手にゆっくりと少しだけ力を込めると、みのりちゃんが、ビクッと体を震わせてうつむいた。
そして小さく呟く。
「今日の夏輝さん、イジワルです……」
拗ねたような口ぶりに、思わず笑みがこぼれる。
「うん、そうだね。でもみのりちゃんだからだよ?……俺は、みのりちゃんの気持ちが聞きたいんだ」
俺は彼女の耳元に口を寄せて、言った。
もう、溢れ出した気持ちは止められない。
みのりちゃんの事、独り占めにしたい。
「……俺は、好きだよ。みのりちゃんのコト」
「………![](//img.mobilerz.net/img/i/63913.gif) 」
みのりちゃんが、真っ赤な顔で俺の顔を見る。
息がかかりそうなくらい近くで見つめ合う。
「夏輝さん………」
「ねぇ、みのりちゃん。……みのりちゃんのクリスマス、俺が予約してもいい?」
みのりちゃんが、驚いて目を見開いた。
「…………ハイ」
やがて。
みのりちゃんが小さく頷くのを見て、俺はゆっくりと顔を近づけた。
「好きだよ、みのりちゃん……」
みのりちゃんの細い体を抱きしめて、そっと彼女の甘い唇を味わう。
「ん、んん……!」
小さな吐息すら奪うように、さらに深くくちづけた。
もう、放さない。
きみの周りには、きみに惹かれている奴らがたくさんいるのは知っている。
あの春だって、その一人だってコトも。
だけど。
これだけは、譲れない。
みのりちゃん、大好きだよ。
→あとがき
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