太陽を抱く夜〜Prologue1〜(3/3)
「‥‥‥‥なあんだ」
ドキドキしながら開いたメールは、山田さんからのそっけない業務連絡。
いけないと思いながらも、かなり本気でガッカリしてしまう。
(山田さん、ごめんなさい……)
目を閉じて心の中で山田さんに謝っていた私の耳に、突然よく知っている人の声が飛び込んできた。
「シケた顔してんなぁ‥‥みのり、お前はこの俺が惚れる女なんだぞ?そこん所ちゃんと分かってんだろうな?」
思いがけない声に、私は慌てて顔を上げる。
「隼人さん!え!?‥‥いつからそこに?」
ドラマで私の相手役を演じる白鳥隼人さんが、ベンチの隣に立って私を見下ろしていた。
前にも何度か共演した事があるし、最初はとっつきにくかったけど今では親しい役者さんの一人だ。
「ん?ああ、携帯片手に辛気臭くため息ついてたあたりから、かな?」
(そんなトコから……)
気恥ずかしさに、私の顔が熱くなる。
(やっぱり夏輝さんに会えないから、どこかボーっとしちゃってるのかな……)
考え込む私をよそに、隼人さんは更に続ける。
「お前、台本読むのはちゃんとこなしてたけどさ‥‥なんっつーか……」
そこで何故か言いにくそうに一呼吸置いた白鳥さんは、しかしきっぱりと告げた。
『みのりの作り笑顔、分かりやす過ぎるから』
「‥‥‥‥‥」
私にはもう返す言葉もなかった。
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110113.
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