太陽を抱く夜〜Prologue1〜(2/3)
「はあ……」
いけないと思っても、ついついため息がこぼれてしまう。
「さすがミリオンセラーだなぁ……凄すぎるよぉ」
私が主演する新ドラマは、社会現象にもなった恋愛小説が原作になっている。
だから原作者やスポンサー、テレビ局の熱の入れようは半端じゃない。
もちろん私だって、お仕事に手を抜くつもりなんてないけど。
(だけど、ここまで大きなプレッシャーをかけられるのもなあ‥‥)
何でだろう、ちょっと前まであんなに楽しかったのに。
今は仕事も恋も、完全に八方ふさがりだ。
やっと休憩時間になって、私は足早に関係者が集まっていた大会議室を後にする。
休憩スペースの自販機でお茶を買って、近くのベンチに腰を下ろすと、私は何度か深呼吸を繰り返した。
それから、マナーモードにしていた携帯電話をポケットから取り出して、着信をチェックする。
「あ……」
画面上にメール着信あり、という表示を見つけて私の顔がほころんだ。
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