狼少年とキスの法則(4/5)
*おまけ*
――――後日
鬼プロデューサーである神堂さんから、この日の大遅刻の罰として冬馬さんに『当分の間、私とのいちゃつき&連れ込み禁止令』が出された
「って、怒られんの俺だけかよ! しかも春、何だよこのペナルティ?」
「罰としてはこれが最適だと判断した‥‥それだけだ」
対する春は、どこまでもいつも通りだった
「とにかく! こんなの、俺はゼーッタイに認めないからな!」
スタジオ練習の休憩時間
憤然と春に食ってかかる冬馬を横目に、夏輝と秋羅がタバコに火を付ける
以前から女の子相手の噂には事かかなかった冬馬だが、みのりちゃんとつき合うようになってからは‥‥‥‥その
「馬鹿っぷりに磨きがかかったって?」
秋羅の歯に衣着せない物言いに、夏輝が噴き出した
「どうせ今回だって、また冬馬が強引にみのりちゃんを付き合わせたんだろ?」
「そう考えると、完全に自業自得だよなあ」
そんなやり取りを耳聡く聞き付けた冬馬が、勢いよく二人に向き直る
「そこ、うるさいっ! ‥‥全く、どいつもこいつも好き勝手言いやがって! だいたいお前らだって好きな彼女が朝一で目の前にいたらだなあ‥‥」
が、しかし
「「あーうるさい、エロ親父」」
夏輝と秋羅の息の合ったリターンエースに、冬馬の顔が引きつった
やがて握った拳をわなわなと震わせながら反論する
「だから、俺はまだ親父じゃないって何度言ったら‥‥」
その時、いつのまにか冬馬の背後に歩み寄っていた春が、冬馬の肩の肩に手を置いて淡々と告げた
「つまり"エロ"は認める訳だ‥‥‥‥冬馬、ペナルティ追加決定だな」
「‥‥‥‥‥‥‥は?」
思いもかけない言葉に冬馬が呆然としている間に、春はソファに置いていたバッグを手に取る
「夏輝‥‥ちょっと出てくるから、後を頼む」
「ん、りょーかい」
「あのー、もしもし春さん? おーい?」
「‥‥‥‥‥」
何事もなかったかのように冬馬の前を素通りして、静かにスタジオを出ていく春
その背中を見送って、扉が閉まった次の瞬間
完全防音になっているはずの室内から
「おい春? ちょっと待て、つーか本気で言い逃げすんなこら――――!!」
という雄叫びと、二人分の笑い声が聞こえたとか聞こえなかったとか
JADEは今日も平和です‥‥‥‥‥‥多分
―END―
⇒あとがき .
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