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私の好きなヒト(4/7)


今日は、何てラッキーな一日だろう。



思いがけず夏輝さんに会えたし。



しばらくあの楽器店で過ごした後、二人一緒にお店を出た。



そして今、私は夏輝さんの運転する車の助手席に座っている。



(まるで神様から一足早く、クリスマスプレゼントをもらえたみたい…)



私は、夏輝さんのスケジュールなんて知らなかったし、ましてやあのお店が夏輝さんの昔からの“なじみの店”だったなんて!



(……でも考えてみれば、私と神堂さんのお家は近所なんだし、その神堂さんと同じ高校に通っていた夏輝さんも………)




夏輝さんお気に入りの洋楽が流れる車内で、運転席でハンドルを握っている夏輝さんがクスクスと笑い出した。



(やっぱり可愛いなあ…)



「みのりちゃん、百面相してるよ。何か楽しいコト考えてる?」



「え?………ええ?…百面相って、夏輝さん!」



「アハハ…。一応、ホメ言葉だよ?」



「一応って……何ですか、もう…」



楽しそうに笑う夏輝さんの言葉に頬を少しだけ膨らませて、窓の外に目を向ける。



冬のこの時期は、まだ夕方なのにすっかり日が落ちて、車内でもエアコンがフル稼動している。



クリスマス仕様のイルミネーションが車窓を流れていくのを眺めながら、私は今日一日の出来事を思い返した。




変装はしていたつもりだったけど、初めて入った楽器店で昔バンドマンだったという店長さんには、声だけで私のコトを気付かれてしまった。



それでも、私がJADEの…夏輝さんのファンだと言うと、お店にあるJADEのスコアを見せてくれ、夏輝さんの使っているギターについてもいろいろ教えてくれた。



ハンドルを握る夏輝さんは、歌でも歌い出しそうなほど上機嫌な私に視線だけ向けて笑顔を浮かべる。



「ん?…どうかした?」



「いえ、あの店長さんってすごくイイ人ですよね」



キキィーッ



何気なく言った瞬間、夏輝さんの車のタイヤがものすごい音をたてた。










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