誘惑のsteady(3/4)
「なあ、みのり‥‥上向けよ?」
「あ‥‥っ」
甘い囁きに、ぞくりと体が痺れた
と同時に、あごに添えられた指先にくいと上向かせられて、二人の吐息がそっと重なる
「ん‥‥は、あ‥‥っ」
段々と深くなっていったキスに乱れた呼吸を整えながら
「やばいな‥‥久しぶり過ぎて俺にも止められないかもしれない―――みのりは?」
「なっ、そんな事‥‥」
「へえ?」
全てを見透かすような漆黒の瞳に間近で見つめられて、私の頬は羞恥心からサッと朱に染まる
(もう、私の気持ちなんて分かってるくせに!!)
いつも私ばかりが翻弄されているのが、ちょっと悔しい
なのに秋羅さんの腕から逃れたくない、このまま囚われていたいと願う私もいるなんて
(やっぱり、秋羅さんはズルイ‥‥)
ここがテレビ局だとか、私達がなかなか戻ってこない事を神堂さん達が不審に思うんじゃないか、とか
もう、何も考えられなくなって
「あ‥‥」
力が抜けて、膝から崩れ落ちそうになった私の体は、秋羅さんの腕にぐいと抱き寄せられた
「ホントにみのりは、ここが弱いよな」
私の首筋に顔を埋めていた秋羅さんが、クスッと笑うのに
「やっ‥‥そこ‥‥は‥‥っ」
押し当てられた唇と熱い吐息に、私の体が電流が走ったようにビクッと震える
無意識に、囚われた腕の中から逃げだそうとしたけれど
「駄目だよ、みのり‥‥我慢出来なくなった、って言っただろ?」
「―――っ」
私達が身じろぎする音しか聞こえない、静かな楽屋の中
かちゃり、と秋羅さんがドアの鍵をかける音が、やけに大きく聞こえた気がした―――
―END―
⇒あとがき .
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