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今、思ってる事が同じなら(4/6)


逸る気持ちを抑え、はづきが待つ家に戻ると


「あ、半平太さん、おかえりなさいっ!」


出迎えてくれたはづきの嬉しそうな笑顔に、自然と頬が緩んでゆく


「ただいま、はづき」

「朝からどこに行ってたんですか?お昼にも帰ってこないから、心配してたんですよ!」

「すまないね、ちょっと用事があったものだから」

「もうっ、半平太さん、その様子じゃ、お昼食べてないんですよね?」


すぐ用意しますから!・・・奥へ行こうとするはづきの細い腕を掴んで、はづき、と引き止めると

驚いたように、はづきが動きを止めた


「半平太さん?」

「その前に、どうしてもはづきに渡したいものがあってね」

「え?私、に?」


忙しく瞬きを繰り返しながら、僕を見上げてくる大きな瞳

その瞳に笑みを返しながら


「そう、すまないが、少しの間、目を瞑っていてもらえるかい?」

「へ?目を?どうして?」

「それは秘密・・・さあ、目を瞑って」


念押しするように告げると、なんだろう・・・と小さく呟く声が耳に届いて

僕を見上げていた瞳が、ゆっくりと閉ざされてゆく


「これでいいですか?」

「ああ、僕がいいと言うまで、目を開けたら駄目だよ」

「はーい」


ぎゅっと固く閉ざされた瞼

素直に言いつけを守るはづきが可愛くて、つい、くすりと笑みを零しながら

懐から取り出した小さな箱の蓋を開け、はづきの細い左手をそっと捉える


「半平太さん?」

「まだ、駄目だよ」


唐突な行動に驚いたらしく、はづきの体が小さく跳ね

うっすらと瞼が開きかけたけれど、僕の言葉で、それはまた固く閉ざされた



はづきは、これを喜んでくれるだろうか・・・・



期待と不安で騒ぐ心の臓を宥めながら

華奢な指に、取り出したものを、そっと嵌めると


「半平太、さん?」


再び僕の名を呼んだ声は、微かに震えていて











「もう、開けてもいいよ」





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