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今、思ってる事が同じなら(2/6)




ふと、脳裏に蘇ってきたのは

以前、一度だけ目にした『せいとてちょう』なるものに記載されていた日付・・・



なんて、ことだ・・・

はづきはこうしてお祝いしてくれているというのに、未来の風習を知らなかったとはいえ、僕としたことが・・・



「半平太さん?どうかしました?」

「あ、いや、何でもないよ」


きょとんと覗き込んでくるはづきに、内心の動揺を隠しつつ笑みを返すと、嬉しそうにはづきが笑う


「それじゃ、始めましょう!龍馬さん」

「おう!ほいじゃ、全員、ぐらすを持つんじゃ」


にししっと笑う龍馬の「乾杯」の言葉を皮切りに、誕生ぱぁてぃとやらが、始まったが

僕の頭の中からは、その日付が消えてくれることは無く・・・



誕生ぱぁてぃが終わった後、頬を染めたはづきから


「未来では、お誕生日に贈り物を贈るんです」


僕が欲しがっていた書物を渡された時、密かに心の中である決意を固め・・・







そうして、今朝からずっと、街中を歩き回っているわけだが・・・

気づけば、太陽は頭上高くに上りきっていて

かなりの時間、街中を歩いているにも関わらず、未だ何も手にしていないという事実に、思わず溜息が零れた




情けない・・・

はづきは僕が生まれた日に『誕生ぱぁてぃ』を開いてくれた上に、僕が喜ぶものを贈ってくれたというのに

僕は、はづきが生まれた日に、祝ってやれなかっただけでなく

はづきに贈るものを、未だに見つけられずにいるとは・・・




『せいとてちゅう』に書かれていた、はづきの誕生日は『8月20日』

未来の風習を知らなかったとはいえ、僕ははづきに、祝いの言葉すら伝えていなかった

今更かもしれないが、せめてはづきが喜ぶものを贈りたい

そう心に決めてきたというのに、まったくもって、情けない・・・



また一つ溜息を零して

地面に落としていた視線を上げると、ふと目に入ったのは

道の端にある、一軒の店先に並べている品が、陽光を受けて放った煌き



少しばかり興味を覚え、店に足を向けてみると

店先に並べられていたのは、あまり見かけることが無い品々

どうやら、舶来物を取り扱っているらしい店の品揃えに、興味をそそられた



さっき煌いていたのは、ぎゃまん、だったのか

それにしても

こんな所に店があったとは、知らなかったな・・・



切子とは違う、美しい色合いのぎゃまん

思わず手に取ってかざすと、陽光を受けたことで、また違った色合いを見せてくれる



美しいな・・・

これを贈ったら、はづきは喜んでくれるだろうか・・・

いや、だが、やはり・・・










「奥方様へ、贈らすとですか?」



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