世界でいちばん。(12/15)
「続きは部屋行ってからな」
と、
手際よくシートベルトを外し、私を立たせドアを閉めると秋羅さんはそのまま私を抱き上げ、歩き出した。
「あ、秋羅さん!私、歩きますから!いくら公表してるからって、こんなとこ誰かに見られたら大変ですよ!」
そう言っても、秋羅さんは全く離してくれないどころか…逆に、私を抱き締める腕に力をこめ、
「いいよ。いっそ『井上秋羅、みのりにベタ惚れ!?
深夜に車からみのりを抱き上げてお持ち帰り!』 って、一面スクープにでもして貰いたいくらいだな(笑)
そうすりゃ……俺がお前に本気だって、ああいう馬鹿を牽制出来るだろうしな」
…結局、秋羅さんはエレベーターに乗っても、玄関に入っても下ろしてくれず、 仕方なく抱き上げられたまま、靴を振り落として。
ようやく…下ろして貰えたのは、ベッドについてからだった。
ベッドの上に座らされ、次々と手際よく服を脱がされていく。
「あ、秋羅さん!待って…」
「ダメ。待たない」
う〜ん…なんとなくやっぱり機嫌が悪い気がする。
「秋羅さん…やっぱり怒ってるんでしょ?車の中でもずっと喋ってくれなかったし…」
「ん?…ああ、あれは… どうやってアイツを潰してやろうか考えてたのと……
あとは……まぁ白状するなら、怒ってるいうか…
俺に相談してくれなかったことがちょっと悲しかったかな………そんなに、俺は頼りないのか?って」
思いもしなかったことを言われ驚いた。
「違うのっ…秋羅さん忙しい時期だったから心配かけたくなかっただけで……
それに…秋羅さんのこと色々言われて……信じてるのに…不安になる自分が嫌で…!
……相談したら、秋羅さんのこと信じてないって言ってるような気がして…
自分でなんとかしなくちゃ…って…思って」
.
[←] [→] [back to top]
|