世界でいちばん。(3/15)
それから少したち、
JADEの新曲が発売され、そのプロモーションのために久しぶりにJADEとの共演ということで、
秋羅さんに会えると、気持ちが浮き立つのと同時に、
宇棹のいるENDとも共演のため、言い様のない不安に襲われてもいた。
「久しぶりに、JADEと共演ねぇみのりちゃん、秋羅くんと会えるの嬉しいでしょ?
今日は、いつも以上にバッチリ可愛くしてあげるわよ〜」
「有難うモモちゃん」
鮮やかな手つきでメイク施していくモモちゃんの仕事を見つめていると、モモちゃんが顔を曇らせた。
「みのりちゃん……今日という今日は、ちゃんと秋羅くんに相談するのよ?
JADEも新曲が出たから、これからENDとの共演も増えてくんだから、
今日、何もなくてもみのりちゃんの居ないところでトラブルが起こる可能性だってあるんだからね?
大体……みのりちゃんが辛い思いしてて、今日は助けられる絶好のチャンスなのに
何にも相談して貰えなかったって後で知ったら、秋羅くんショック受けるわよ?
頼るべき時は、ちゃんと頼りなさいね?」
「うん…」
◇◇◇
メイク室を出て歩きながら
(モモちゃんには、ああ言ったけど…やっぱり秋羅さんに迷惑かけたくないよ…)
そう思いながら、他の出演者に挨拶をして回っていると宇棹が待ち構えていた。
「よっみのりちゃんおはよ…
そろそろ、俺と付き合ってくれる気になった?」
「なりません!私には秋羅さんがいますから!」
「はぁ〜ったく、あんな男のどこがいいんだよ…
まっ…いいや、どうせすぐ気が変わるんだろうし?」
そういうと、意味深な笑みを浮かべ、柱の陰から何かを取り出した。 .
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