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世界でいちばん。(2/15)


「どうしたんだよ?なんか元気ないな…」


「そんなことないですよ!」


普通に笑ってるつもりだったのに秋羅さんに落ち込んでいることに気づかれ焦った。


久しぶりに秋羅さんに会っても心の底から楽しむことが出来なくて。


でも…忙しい中、食事だけでもとせっかく時間を作ってくれた秋羅さんに心配をかけないように、上手く誤魔化しているつもりだったのに。


「本当に?なんかあって落ち込んでるんじゃないの?」


「そんなことないですって!それより新曲楽しみです!

また、一緒に出演できたらいいなぁ〜」


(だって…宇棹に、つきまとわれてるのは…私が、キッパリと言わなかったのが悪いんだし…


あいつに言われた事で不安になって、


秋羅さんに相談するのは…秋羅さんを信じていないって言ってるのと同じだもん…

絶対、言えないよ…今度会ったら…絶対、二度とつきまとわないでってハッキリ言おう)


そう、心に決め無理やり笑顔を作った。



◇◇◇


翌日、スタジオで練習をしていると、いきなり冬馬に怒鳴られた。



「…ら…秋羅!なにボケッとしてんだよ!」



「あ…悪い」



「こんな簡単なミスするなんて、秋羅にしては珍しいな…みのりちゃんと何かあったのか?


昨日会ったんだろ?」



『明日、朝早くから仕事があるから』と食事だけで家まで送ったのだが、


明らかに、いつもの彼女とは違っていて

…それがどうしても気にかかり集中が途切れてしまったのだ。



「ああ…特に何があったって訳じゃないんだが

なんとなく彼女の様子がおかしかったんだ

落ち込んでるっていうか…」



「なんだよ?理由聞かなかったのか?」



「いや…聞いたけど何でもないって言って答えようとしなくてな…

何か、隠して無理に笑ってるのは見え見えなんだけどさ…


なかなか言わなくて。


アイツ、周りに迷惑をかけないようにと、溜め込んじまうとこがあるから

…余計に心配なんだけどな」



「確かにみのりちゃん…頑張りすぎちゃうとこあるよね…

…何があったのかは分からないけど…秋羅にも言えないってあたり

ちょっと心配だね」

.


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