trick or treat 〜JADE+〜(12/13)
俺達以外には…住んで…なかったって?…え?」
予想外の答えに訳が分からなくなる。
「ん〜何百年前だっけな〜ヨーロッパにいた頃、メンバーと一緒に住んでたんだけど…
まぁ…色々あってね、あちこち移り住んで日本に住み着いたんだけどね
まぁ、いない間もヘンなのが住み着いかないよーに、さっきのおっちゃんが見ててくれたはずだから大丈夫っしょ
で、ちょっと前に日本の企業が城買って日本に移築されてさ…
ま〜懐かしいし元は俺達のもんだしって、今回の撮影にちょうどいーやって買い取ってさ
まぁ、早い話が、俺のつーか、JADE4人の実家?」
何百年前?……冬馬さん達がヨーロッパで、このお城で住んでた?
有り得ない理解を越えた話しにからかわれているのだと気づき思わず吹き出した。
「も〜冬馬さんってば、またそうやってからかうんだから!」
ぷぅと頬を膨らませて怒ったように言うと
「あ〜やっぱ信じねぇよな〜 …ま〜今さら、みのりちゃんのこと手放す気なんかないけどね」
廊下の突き当たりのドアの前にリムジンで会った『執事』さんが立っていてドアを開いてくれた。
「お帰りなさいませ、お部屋の準備が整っております」
「アリガト…下がっていーよ」
「では、失礼致します」
ゆっくりと部屋に入っていく冬馬さんの肩越しに廊下を見ていると、
『執事』さんの姿が忽然と掻き消え誰も触れていないのにゆっくりとドアがしまった。
びっくりして言葉を失っていると、ゆっくりとベッドに座らされ抱きしめられた。
妖しく熱を帯びた赤い瞳が近づきながらゆっくりと閉じ
触れるだけの優しいキスをした唇がゆっくりと私の頬を滑り首筋をなぞってゆく
「…愛してるよ
俺の愛は永遠だから
……覚悟してね?」
−−−そして、作り物のはずの冬馬さんの牙がズブリという音と感触とともに私の首筋に痛みを伴い突き刺さったのだった。
−−−それは、
甘美な永遠の束縛の始まり。
冬馬さんの腕の中で、『執事』さんの『お幸せに』とう言葉の意味を悟ったのだった。
fin
→お礼文
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