しあわせになろうよ(4/6)
そして今日
「誕生日は何が何でもはづきと二人で過ごすぞ! 例え小五郎でも邪魔する奴は許さんからな!」
そう宣言して、その分昨日の夜遅くまで仕事を頑張っていた晋作さんに喜んでもらいたくて
だけど
(ど、どうしよう‥‥‥今更なんだけど、凄いドキドキしてきちゃった‥‥)
今、姿見の中にいるのは夏用の真新しい着物に袖を通した私
綺麗に結い上げた髪には晋作さんからもらった簪を挿して、普段はしない白粉と紅にも、少しだけ挑戦してみた
「‥‥‥晋作さん、喜んでくれるかな」
姿見の中の私が頬を染めて首を巡らせる
その視線の先、文机の上に置かれた橙色の袱紗に包まれているのは、私から晋作さんへの「誕生日ぷれぜんと」だ
(あ‥‥‥)
そっと袱紗を手に取った時、廊下の向こうから聞き慣れた足音が近付いてくるのが聞こえた
しばらく待っていると、開け放ってある縁側の障子から、晋作さんがひょいと顔を覗かせる
「はづき、支度は出来たか? 何処か出かけたいなら‥‥‥ってはづき、お前その格好‥‥!?」
「あ、うん‥‥今日は特別な日だから、ちょっと頑張ってみようかなあって‥‥‥晋作さん?」
ぽかんと口を開けていた晋作さんは、けれどすぐに射抜くような視線で私を見た
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