しあわせになろうよ(3/6)
ぽすん、と軽く握った拳で晋作さんの胸を叩く真似をすると、骨張った大きな手が私の顎を捕らえた
そのままくい、と上向かせられる
『こら、はづき! たまにとは何だ、たまにとは! 俺はいつだっていい男だろうがっ』
―――ねえ、晋作さん?
口調は自信たっぷりだけど‥‥‥‥晋作さんも顔、真っ赤だよ?
"好きな男の人を可愛いと思うのは、その女の子が本気で恋をしてるからなんだって"
そんなフレーズを、ずいぶん前に本か何かで読んだ気がする
『‥‥‥‥‥‥』
ちら、と晋作さんの顔を見上げると、返事をしない私に焦れていつの間にか膨れっ面になっていた
(どうしよう‥‥‥‥今の晋作さんも、めちゃくちゃ可愛いんだけど)
『おい、はづきっ』
私の視線に気付いた晋作さんが、返事を催促するように、私の名前を呼ぶ
『ふふ、そうだね』
『! ‥‥そうか、はづきもそう思うか!』
私が頷いた途端にパッとお日様みたいな笑顔になる晋作さんに、私は今度こそ吹き出してしまう
すると、それに気付いた晋作さんに軽く小突かれた
『こらはづき、笑うな!』
『ご、ごめんなさい‥‥だって晋作さんが‥‥‥‥あっ』
『笑うなと言ってるだろう』
近づいてきた晋作さんの顔が、笑いすぎてうっすら滲んだ涙に霞んでいく
『はづき‥‥』
唇に落とされた温もりは、すぐに甘く激しくなって――――
『ん‥‥は、あっ‥‥んんっ‥‥‥晋作さ‥‥』
『口で言って分からないなら、こうするしかないだろう?』
『そんな‥‥』
『安心しろ、はづきの言い分はこの後ゆっくり聞いてやる』
『‥‥‥‥っ』
私達は、必ず出会って結ばれる運命―――
晋作さんのその言葉が、私の心と体を染め上げていく
その夜
私は晋作さんの腕の中で、やがて朝日が二人を照らすまで、甘い囁きと重ねた肌の熱さに溶かされ続けたのだった――――
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