夢の続きは君と二人で(2/4)
メインのアトラクションが終わって。
次に行く予定のショップへ向かって歩きながら、私はすっかりむくれてしまっていた。
アトラクションはもちろん、何の問題もなく楽しかったんだけど………。
「ちとせちゃん?……ねーえ、ゴメンってば〜」
さっきから私の少し左後ろを歩く櫂が、私の顔を覗き込んでくる。
もう何度めかのその言葉に、私はピタッと立ち止まって櫂に向き直った。
「……ホントに反省してる?」
途端に、櫂がパッと顔を輝かせる。
「してるしてる!……だからちとせちゃん、笑って?」
おねだりするみたいに私の顔を覗き込んでくる櫂に、思わず苦笑してしまう。
……もう、仕方ないなあ。
『仲直り』のシルシに、私は櫂の左腕にギュッと抱きついた。
事の発端は、アトラクションの最中。
乗っていたカートがスピードを落としたかと思ったら、突然上下に揺れはじめて。
驚いた私は、つい悲鳴をあげてしまったのだけど。
………トロイメライのボーカルである私の悲鳴は、半端じゃなかった。
ふと気が付けば、同じカートに乗り合わせた他のお客さんも皆私を見ていて。
さらに、その様子を見た櫂はお腹を抱えて爆笑していたのだ。
「お詫びにちとせちゃんの欲しがってたヌイグルミ、プレゼントするから」
櫂の言葉に、ふといたずら心を起こした私はニッコリ笑う。
「それじゃ、一番大きいコにしてね 」
「…………うん?」
やがて。
「嘘だろーっ 」
アメリカの漁村をイメージした可愛いらしい雑貨屋さんの店内に、今度は櫂の大声が響いた。
櫂の視線は、私が抱きしめているクマのヌイグルミに固定されている。
Lサイズよりさらに大きい、キングサイズのそれは私の体をすっぽり隠してしまえるほどの大きさだった。
「ヌイグルミ……てゆーか、実物大……?」
「かわいいでしょ?」
「……………ちとせちゃ〜ん?」
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