陽の当たる場所〜Session.4〜(2/4)
〜ちとせ side〜
「じゃあ、最後にこのチョコプレートを載せて‥‥」
9月18日、龍の誕生日当日
龍と二人で暮らすマンションは、リビングの大きな窓から差し込む柔らかな陽射しに溢れていた
「へえ、今年はまた随分可愛いケーキだな」
「‥‥‥え?」
キッチンで龍の為のBDケーキに最後の飾り付けをしていた私は、不意に聞こえた声に慌てて後ろを振り返る
「り、龍!?」
「ん?」
作り付けのカウンターを挟んで私のすぐ真後ろにいた龍は、驚いて口をぱくぱくさせる私の顔を面白そうに眺めた
「え、あの‥‥龍、いつからそこに!?」
「そうだな‥‥ちとせが真ん中のイチゴを乗せ終わったあたりからだったな、確か」
「そんなトコから‥‥」
さらりと答える龍に、私の心臓はこれ以上ないくらいに一気に高鳴った
(きっと私、その間もいろんな事呟いたり、想像してにやけたりしてたよね‥‥?)
恥ずかしさで、私の頬がみるみるうちに赤く染まる
そんな私の反応に、龍は少しだけ不満そうに眉をひそめた
「何だよ、今更そんなに照れなくてもいいだろ?」
「そ‥‥それはそうなんだけど」
「じゃあ、何?」
赤くほてった頬を龍の少し冷たい指先でなぞられて、ぞくりとした感覚が体の芯を駆け抜ける
「‥‥‥‥っ」
「ちとせ?」
「‥‥な、何でも‥‥あっ!」
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