陽の当たる場所〜Session.2〜(3/6)
「あのなあ」
さすがにカチンときた俺が一歩踏み出そうとした時
ツンツン、とTシャツの袖が引っ張られた
「ん、瑠禾? どうした?」
我に還った俺が首を巡らすと
いつの間にか俺の左隣にやって来ていた瑠禾が真っ直ぐに俺を見上げながら呟く
「龍はちとせが好きだから、ちとせが周りを気にしてばかりいるのがつまらないんでしょ?」
「う‥‥」
淡々と指摘されて、思わず言葉に詰まる
休憩中のただの雑談に、真面目に答える必要はないだろう
けれど瑠禾の真っすぐな視線は、そんな安易な逃げを許してくれそうもない
観念して、口を開く
「それは、まあ‥‥‥否定はしないが」
「うん」
俺の呟きに、瑠禾は満足そうに微笑んだ
「やっぱり‥‥」
「え?」
「いつでもちとせを独り占めしておきたいだなんて、龍も意外とお子様だったんだね」
「‥‥‥‥‥‥」
「あっ、バカ瑠禾!!」
「ルカちん!」
櫂と、櫂を羽交い締めにしようとしていた雅楽が同時に叫ぶ
「‥‥‥‥‥お前らな」
何処かで、何かがぷつっと切れる音がした
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