Ryu's Happy Birthday!『愛し方しか知らない』(3/5)
カチャカチャ‥‥
キッチンでコーヒーをいれながら、リビングにいる龍に話し掛ける。
「ねえ龍、何か食べる? お腹空いてるでしょ?」
「‥‥‥‥‥‥」
「龍?」
何の返事もないのを不思議に思いながら、私はコーヒーと紅茶のカップを載せたトレイを持ってリビングに向かった。
「龍? どうしたの‥‥って‥‥‥‥えっ!?」
ソファに座った龍の顔を覗き込んだ私は、思わず大声をあげてしまってからハッとする。
龍は、腕を組んでうつむいて‥‥‥‥規則正しい呼吸をしていた。
「もしかして、寝ちゃったの? 帰ってきてまだ5分もたってないよ?‥‥‥あ、コーヒー冷めちゃう」
「って、そうじゃなくて!」
自分の言葉に自分でツッコミを入れてから、私は寝室へと急ぐ。
「さすがにこのまま寝てたら風邪ひいちゃうよ‥‥」
取ってきた毛布をそっと龍の体にかけながら、私は改めて龍の顔を見た。
(‥‥‥やっぱり疲れてるんだよね‥‥最近、すごく忙しかったもん)
だけど、それでも会いにきてくれたんだ‥‥。
そう思ったら、私の胸がじんわりあったかくなって。
体が、勝手に動いた。
「‥‥ん」
龍の頬にそっと触れるだけのキスをして、ゆっくり体を離す。
(‥‥‥///)
それから、テーブルに置いたままだったコーヒーを片付けてしまおうとした時。
「何だ、それで終わりか?」
「‥‥え!?」
驚いた私が振り返ると、龍は寝ていたままの姿勢で悪戯っ子みたいな目で私を見ていた。
その顔には、寝ぼけている様子は全然なくて。
私の頬が途端に熱くなる。
「龍、もしかしてずっと起きてたの!?」
どうにも恥ずかしくて焦る私に、龍は少し意地悪そうな顔をした。
「ちょっとウトウトしてただけだよ‥‥そうしたら、慌ててるちとせがあんまりかわいくてつい、な」
「〜〜〜!」
きっと今、私の顔は真っ赤になってる。
「だったら、疲れているならちゃんと寝ないと‥‥‥きゃっ!」
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