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『カワイイ』なんて言わせない(3/6)




「そんな目って……だって、龍がいつもと違う道行くから………」



私が抱きしめられた態勢のまま答えると、龍はああ、と呟いて少し体を離した。



「ちとせに見せたい物があるんだよ」



見せたい物?



って、こんな倉庫街で?



疑問がそのまま顔に出ていたらしく、龍は面白そうに笑うと片手を伸ばして車のロックを解除した。



「ちとせ、ちょっと外に出てみろよ」



そう言って、運転席側のドアを開ける龍。



私も慌てて車を降りると、小走りで龍に駆け寄った。



車はちょうど一番川に近い倉庫の陰に停まっていて、龍は私の肩を抱き寄せると遊歩道にもなっている川岸へと向かう。



そして、倉庫の壁が終わって視界が開けた瞬間。



私は、息を飲んだ。



私達のいる場所よりも、少し上流に架かっている陸橋が色鮮やかにライトアップされていた。



その橋の奥には、繁華街のネオンがそびえ立っている。



倉庫街が暗い分、ライトは一層華やかだった。



「もうずいぶん昔だけど、ツーリングの途中で偶然このポイントを見付けてな」



龍が私の肩に置いた手に力を込める。



「龍……」



それからしばらくの間、私達は誰に邪魔される事もなく寄り添って、お互いの鼓動とぬくもりを感じていた。








やがて。



龍がそろそろ帰ろうか、と言い出したその時。



どこからか、かすかな鳴き声が聞こえた気がした。



「龍、ちょっと待って……」


「ちとせ?…どうかしたのか?」



突然立ち止まってキョロキョロと辺りを見渡す私に、龍が怪訝な顔をする。



…………キューン…



「!…龍、あの草むらの所!」



言うと同時に私は駆け出した。



「ちょっ…ちとせ……おい!」



慌てて追いかけてきた龍が、草むらの前にしゃがみ込んでいる私の手元を覗き込んで目を丸くした。



そこにいたのは−。











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