ブレイクタイム。(3/5)
背もたれに寄り掛かって見上げた空はどこまでも青くて、俺はゆっくりと目を閉じる。
換気のために開けてある窓から入ってくる風が、ほてった顔に気持ちいい。
サワサワ、サワサワ。
(‥‥‥‥‥‥‥)
事務所の一番奥にあるこの場所で聞こえてくるのは、風が木々の緑を揺らす音だけだった。
「‥‥さん、佐藤さん?‥こんな所で寝てたら、風邪ひいちゃいますよ〜」
誰かに肩を軽く揺さぶられて、俺はハッと目を開けた。
「‥‥‥‥あ、あれ‥‥俺、寝とったんか?」
目の前にあるのは、俺より二歳年下の後輩の心配そうな顔。
「そうですよ。いつになっても席に戻って来ないと思ったら‥‥いつか体壊しますよ、ホントに」
「はは、堪忍な」
苦笑いを浮かべながら右手をあげて謝るジェスチャーをすると、後輩はため息をつきながら休憩スペースを出て行った。
「さて、俺もそろそろ‥‥‥ん?‥なんやコレ?」
座っていたソファから立ち上がろうと手をついた時、左手に何かが触れた。
俺のスーツの上着のすそに隠れるように置かれていた物は−。
「‥‥‥チョコレート、やんなあ?」
だけど、一体誰がこんな所に置いたのか。
不思議に思ってその小箱を取り上げた俺の指に、箱とは違う柔らかい感触が触れた。
そのまま箱をひっくり返してみると、そこには四つ折にしたメモ用紙がテープで貼付けられている。
「ん‥‥?」
ますます訳が分からない。
(ハッ!‥‥‥まさか、『食べるなキケン』とか?‥‥‥‥なんて、事務所内でそんなんあったらイタズラでもまずいわ!)
俺は心の中で一人ボケツッコミをしながら、メモ用紙を開いた。
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