徒爾に終わる



***は万事屋の事務所兼居間のソファーに深く腰かけ、だらしのない家主のように口をぽかんと開け船を漕ぎ夢の世界へと足を踏み入れかけていた。たらりと垂れそうになる涎にハッとすれば壁掛けの時計は深夜0時過ぎを指す。
再び閉じそうになる瞼に目を擦れば玄関から戸を開く音。時間への配慮が欠けらも無い戸の開け閉めと、床にぶつかるようなドタッという激しい音がするも直ぐに静かになる。それは発生源がしこたま酒をかっくらい酩酊状態にあることを表していた。

***は眠りかけていた目を開くと玄関に向かう。案の定玄関で倒れ込み薄らと目を開いた銀時と目が合った。それをスルーし台所で顔を洗う。
あの酔いどれは自分で動く気は皆無。酒を飲むと気が大きくなる質で普段ならしない事までしてしまう。そう、愛しい彼女である***には常にかっこいい姿しか見せたがらない男が、べろんべろんになると甘えてくる。酔っ払いの相手をするのはかなり気力のいるもので、寝惚けた頭では対処出来ない。
冷水で眠気を冷ますと玄関へと戻った。

「***、ただいま〜」

スタンバってましたとばかりに座り込む銀時はいつもよりとろりとした目で破顔し、立ったままの***の腕を掴む。座ってとくいくいと引く手にしゃがめば両手で頭を掴まれる。笑った顔が一瞬で雄の表情に変わると歯がぶつかる勢いで口唇が重なった。

「んうっ、んっ!、、んはっ、」

気遣いなんて全くない欲に塗れた口づけ。いつもなら口唇に触れ解すように数度優しく重ね舐めた後に差し込まれる舌は、性急に突っ込まれぐちゅぐちゅと咥内を荒らす。飴を舐めるようになんて可愛いものじゃない。本当は噛みつきたい、だけど歯は口の中には入らないから舌で舐めとって全て自分の口の中に入れて食べてしまいたい、そんな強欲さが見て取れた。証拠に時折口唇をがぷがぷと噛んでくる。

「ぃ、あ、…っ!銀ちゃん…っん、かむの…やっ」

胸板に手をつき離れようとするも銀時は強すぎる力で捉えていて離そうとはしない。いつもなら優しく頭に添えて撫でてくれる手はない。
言葉もなくはあはあと荒々しく獣のような息遣いで銀時は***を貪った。

次第に空気まで奪い取るような息をすることを許さないほど激しくなる行為に早く終われと念じれば、はっと浅く息を吐くと重なっていた口唇が離れた。2人の間を混ざりあ合った唾液がぽたぽたと落ちる。酸欠でぼんやりとする頭で銀時から距離を取ろうとすると頭を抑えていた手が項を下へとなぞる。お酒で火照ったそれはいつもより熱っぽかった。

「***、」

やっと終わったと酸素を欲する体に必死に空気を送っていると、ずしりと肩にかかる体重。頭を掴んでいた銀時の手が力なく肩に乗り、前屈みの体は***の体を押し潰してきた。
やるだけやって意識はログアウト。
伸し掛る銀時の体を床へと優しく、起こさないように丁寧に転がすと足首を掴む。心の中でゴメンなさいと呟きながら力の限り引っばった。

米10kg×7袋を優に超える男の大人、10kgですら女性にはギリギリだというのに抱えるなんて論外。だが酒を浴びるように飲んだ人間を玄関先で寝せるのは体によろしくない。玄関先で酔って息絶えるなんてことは有り得ないだろうが心配にはなる。
自分で布団まで歩いていってもらうのが一番いいのだが、1人では決して布団まで行こうとしない。仕方ないと何度も布団までふらふらの銀時を連れて行けば共寝を強要される。
酔っ払った銀時は理性が彼方の果てへと吹き飛んでいて毎度酔う度に繰り返されれば***も我慢がならなかった。
一度満足すれぱ先程のように勝手に睡魔で落ちてくれるし、玄関先は隣の部屋の押し入れで眠る神楽を気にしてかさすがに事に及ぼうとはしない。それに少しでも眠れば酔いも収まる。

廊下を抜け居間に入る。座敷の襖を明け放つと敷いていた布団から掛布団だけ持ってきて銀時の上にかけた。
薄情だと言われてもいい。だって私は明日の朝死にたくないんだもの。

「おやすみ、銀ちゃん」

居間の電気を消して銀時のそばで一声かけ踵を返すと神楽の眠る部屋へと向かう。銀時が飲み歩いた時は神楽の部屋で寝るようにしている。自己防衛だ。

「……冷てェんじゃねーの、」

がしり、と足首を掴まれた。

「こんなとこに置き去りとか、冷てェよ」
「え、……銀ちゃん、?」

振り返ればもこりと布団を被り床に座り込む黒い塊。窓から入り込む月明かりは逆光でどんな顔をしているかなんて分からず、酒焼けした喉から出てくる声は唸るかのように低い。
なにこれ怒ってるの?なんで?怒られなきゃいけないんだ?
思わず掴まれていない足で距離を取ろうとするも黒い塊がのそりと動き足に纏わりついてきた。

「ひッ…!」

するりと腿を撫でる手に変な声が出る。

「なァ***、えっちしよ?」

前のめりになってずるりと布団が落ち顕になった銀時の表情はとても楽しそうで、紅い双眸がじっと見上げてきた。
捕まってしまった。そう思った時には遅かった。


出来うる限りの抵抗は全てした。ソファにしがみつこが襖にしがみつこうが引き摺られ、和室に吸い込まれてしまった。
逃げたい。だけどどうやって逃げるべきか。さっきまで眠気でぼんやりとしていた頭は冴え、背後から抱きしめてくる腕から逃げる術を必死に考えていた。

「いい匂い」

空気を吸う音が耳の近くで聞こえぞくりと肌が泡立てばべろりと舐められた。そのままちゅうと吸い付かれちくりとした痛みが走る。

「んっ、…まって銀ちゃん」

逃げる術を考えていた思考が甘い刺激に遮断される。

「やだ。待ちたくねェ」
「いや、あのほんと、待ってください」
「ヤダっつってんじゃん。大体さ起きてたのはそういうコトするために銀さんのこと待っててくれたんだろ?」

首に回っていた手が下りてきて、着物の上から膨らみを撫で始める。

「ち、ちが…んんっ」

否定しようと発した言葉は胸の突起を襲う甘い痺れに遮られる。

「下着だって着けてねーのに?」
「寝るから…なの、っ石鹸の、匂いするのはお風呂入ったから…っ」

へべれけに酔った彼氏とエッチするためにしたことじゃありません。日常の出来事なの。
そう言ってやりたいのにいやらしい手つきで体を撫で回され胸の突起を弄られれば口をついて出てくるのはもっとと誘うような甘い声。それを聞かれたくなくて必死に口を噤んで手で抑えた。それでも送られてくる刺激に口を覆っても抑えきれない気持ち良さは、悩まし気な音となって喉から鼻に抜けていく。

「さっきから可愛い声しか聞こえないけど?」

首を横に大きく振る態度にムッとした銀時は口を塞ぐ腕を掴んだ。

「声抑えないでちゃんと聞け。気持ちい、もっとって俺に強請る声」
「あ…だめ、銀ちゃんっ…そこ、んああ」
「そこってここだろ。こうやってされんの好きだもんな」

銀時の指は摘んだ突起を優しく転がし塞ぐ手を失った口からは切ない声が漏れてしまう。

「それともこっちが好き?」

震える体をくるりと反転させられ褥に寝かせられれば、いつの間にか解けていた寝間着の帯が畳に放られ袷を乱暴に開かれた。

「いつ見ても男を誘惑するえっろい身体だこと」

乳房を下から掬うように掴まれ既に立ち上がった突起を熱いざらりとした舌がねっとりとなぞる。

「ああ…、んっ、はんん…!、ぁ…へんた…い」

どう逃げようかと考えていた思考は霧散し銀時の熱い舌と指が頭の中をぐちゃぐちゃにしていく。

「変態?そんな変態のする事に感じてる***はド変態か?」
「ド変態?!、ちが、うっ!」

聞き捨てならない単語に飛び起きると頭がぶつかり合った。

「いってェ…!」

頭を抱えて唸る銀時にチャンスだと、ぐわんぐわんする頭にふらふらしながら寝間着の襟を掴んで前を隠して下から這い出す。立つ間もなく四つん這いで居間に続く襖を開けようと手を伸ばした。

「うわぁ?!」
「逃がさねーよ、***ちゃん」

がしりと掴まれた足首を引かれ滑った体は畳に崩れ落ち襖が遠のいた。
振り返れば楽しそうに笑む酔っ払ってとろんと蕩けた目元。お酒のせいで瞳はいつもより潤んで拍車をかける色っぽさに惚れた弱みか胸が疼いた。酔ってさえいなければただのケダモノで可愛いなんて思わないのに、酔いで眠気が混じった銀時の視線は欲を滲ませつつもどこが捨てられた犬のように見えてしまう。
かわいいかわいいと撫でてしまいたい。でも可愛くなんて決してない。酔っていない時の方がケダモノに見えるのに、理性が残っていて自制も効き手加減をしてくれる。酔っている時と酔っていない時見た目と行動が真逆なんて狡い。

「月の障りでしてなかったじゃん。溜まってんだよ、な」

余計なことを考えている間に腰に跨られてしまい、逃げるどころか起き上がることも出来なくなってしまった。

「お前でしか抜けないんだからヤらせろ」

愛しい女相手に吐く言葉じゃないよねと、顔を引きつらせていれば、ふっと耳に息を吹きかけられ背筋に鳥肌が立つ。

「んっ…!」
「ほらほら、お前もその気になってきてんだろ?」

尻を掴まれ手で抑えていただけの襟元を引っぱられれば、ずるりと剥かれる寝間着。少しかさついた銀時の手が白い肌をなぞる。

「っ…なってない!、それに、か、神楽ちゃんが」
「お前が声を我慢しさえすりゃ気が付かねェよ。あいつ寝たら基本朝まで起きねえし」

知ってんだろ。何度も何度もやってんだから。
今更な事を盾に毎度毎度、看破されるの分かってて言ってるって事は、抵抗してるフリでもしてんの?
俺が抵抗されっと燃えんの分かっててやってんだったら期待に応えてやんねェとな。

覆いかぶさり耳、項、肩甲骨と這う熱い唇にぞくりと体に痺れが走る。
好きな男に求められて嬉しくないわけが無い。年端もいかぬ少女がひとつ屋根の下で一緒に眠っているという状況下で、少し強引に求められることは、ちょっとしたスパイスになっていた。最初も今もいけないと事だと思っているが、いけないと思う度に悪いことをしている背徳感に似た感情が、いつ神楽が起きてくるか分からない緊張感がたまらなく気持ちよくさせていた。

「や、…まっ…て!あぁっ……ん、っ」
「こんなに期待で自分の女が濡らしてんのに待つバカがいるかってんだ」

下着の上から女の泣き所を指で何度も往復し擦れば次第にじわりと滲んでくるぬるりとしたもの。

「それとも、いい年したねーちゃんがお漏らししたの?」
「ちが、は、んっ…ぁ」
「びちゃびちゃだけど。なに?嫌がっといてもう準備万端?可愛い抵抗はやっぱり見せかけか」

小さく笑うとクロッチの横から遠慮なもなく指が侵入してきた。溢れた蜜で指を濡らすと奥へと入り込んでくる。

「うわっ、ぬるっぬる」
「ああ、…や、んぁっ」

良いところを知り尽くした指は、一カ所に狙いを定めると激しく擦り始める。ぐぷぐぷと溢れる蜜を掻き出しながら、変わりに快楽を流し込む。
自然と上がる息に口は開かれ霰もない声を上げれば口にも指を突っ込まれた。

「んんっ…!…」
「ほら、どっち?漏らしたの、それとも…」

イヤがるフリして無理矢理されんのに興奮したの?

耳元で甘く囁く意地悪な科白に、身体は敏感に反応して銀時の指をしめつける。と思ったら察した指が出ていった。

「〜〜〜ッ、」
「キチンと質問には答えろよな、俺の顔見て。じゃないとイかせてやんない」

うつ伏せの体を抱き起こし、役に立たなくなった下着を脱がしていく。酔っているくせに手つきは確かなものであっという間に素っ裸にされる。
向き合った状態で、ベルトと帯を外し着流しを脱ぎ捨てた銀時の上に座らされれば太腿を跨いで足を開く形になる。

「全部丸見え、絶景」

銀時はイヤらしく指に纏わりついた蜜を、見せつけるように舌で舐め上げる。興奮しているのか口端から零れた唾液をぺろりと舐めた。
舌なめずりをするかのような光景に、女とは違う男の淫靡さに見惚れ視界から欲が刺激され、きゅうとお腹の奥が切なくなって涙をこぼした。

首に手を添えられ上を向かされれば、ちろちろと舌が首を這う。

「あ、ぁぁ」
「ほら、***のその可愛いお口は飾り物か?ん?」

反対の手が乳房を無遠慮に鷲掴んできた。手の平で突起を押し指先で柔らかいそれを揉んでくる。

「んんっ…あ、銀ちゃん」
「なぁに***」

首を支えていた手が肩を滑り胸元まで下がってくる。両手でふにふにと弾力を堪能すれば、中心を口に含んだ。

「ああ…っ、んん!」

歯で甘噛みし、ちゅうと吸い付いてくる。もう片方は親指と人差し指で摘み、時折爪を立てては抓り上げられた。

「ひ…!、ああ、い…っあ…ぁ」

ぴりりとした痛みに触ってもらえない秘所がひくつき、銀ちゃんが欲しくて切なくて掴む肩に爪を立てた。早く欲しい、ちょうだい。そんなふうにせがむように。

「!―ッ、おい***。さっきから言ってんだろう。伝えたいことがあんなら言葉で表現しろって」

ぐっと顎を掴まれ催促をしてくる。その表情は全く余裕なんてなくて

「下の口と一緒で上の口も言葉が喋れねェってんなら、上に突っ込んでやってもいいんだぜ」

顎を掴む親指が下唇をゆっくりなぞる。
言われた言葉は非道いものなのに、余裕の無い顔に同じ様に自分を欲してくれていると思うと、彼がくれるものならなんでもいいとばかりに体は疼きを増していく。

「どうする?俺はどっちでもいいけど。でも、分かってるか?さっきから俺のズボン、おめーのやらしいの垂れて濡れてんの」

股下に伸びた手が太腿を伝い落ちる蜜を、指でなぞりながら這い上がってくる。蜜口に到達すると、尻穴から陰核までぐっしょり濡れた手がゆっくりと這う。

「あ、ぁあ、っひ、…っ」

中指と薬指が中に突き入れられ人差し指と親指が陰核を摘まみ捻り上げる。
こっちに欲しいんだろ?いい加減素直になれよな。
そんな声が聞こえてきそうな勝ち誇った顔に見惚れる反面、悔しい気持ちもあった。
眠たいのに、月の障りで溜まってた性欲を呼び覚まされムラムラさせたのに、イかせてくれないなんて無責任すぎる。絶対におねだりなんて口にしたくなくて、ぐっと口を引き結んだ。

「なに、お前気持ちよくなりたくないの。銀さんので奥、突かれたくない?」

ぐっと指が奥まで入ってきて子宮近くを長い指で軽く触れられれば、銀ちゃんが体の中にいるときの気持ちよさが思い出される。全てを支配さるかのように全身の力が抜けて、のしかかってくる重さと近くで感じる熱と吐息。全てが心地好くて愛しくて。欲しくてたまらなくなる。

「じゃあイヤらしい言葉も紡げないお飾りのお口に咥わえて貰おうか」

お前はお預けな、と後頭部に伸びてきた手が頭を固定し顎を掴んで伏せをする形で床に這いつくばる体勢をとらされる。眼前には劣情で膨らみズボンを押し上げる雄。

「ほら何固まってんの。どんだけ見つめられても銀さんイけないよ?おめーみてェにドMじゃねえもん。視姦なんか気持ちよくもねェんだけど」

まあお前の痴態、見んのは興奮すんだけどね。ドSだから。
なんて楽しそうに口にすれば床に着いていた手を掴まれ、ズボンのチャックへ外せとばかりに導かれた。
それでも、恥ずかしくて、悔しくて、どうしようもなく意固地になっていた***はその手を動かせず、伏せの態勢をとったまま銀時を見上げた。
意地悪しないで?
そんな小悪魔的な表情を浮かべて。

「はぁ、お前…、…俺言ったよな」

がしがしと後ろ頭を掻くと不愉快そうな表情を浮かべる銀時に、やばい何かマズったと思う間もなく顎を掴まれ引き上げられた。

「煽ってんの…?酷くされたいの?だったら望み通りしてやるよ」



「んん〜!、ンっ、ふ」

口の中に突き込まれた高ぶりが上顎を抉り頬に擦り付けられる。ぐじゅぐじゅと唾液と銀時から漏れた苦味のある体液が混ざり合い泡を立てては、ぷちゅっと潰れる水音がイヤらしく響く。
立ち上がった銀時に膝立ちの体勢で後ろ頭を大きな手で掴まれれば逃げ場なんてなく、抗議に開いた口に熱り立った一物を押し込まれれば咥えるしかなかった。

「はっ、すっげえ気持ちい。お前の口ん中」

咥内を隙間なく埋め尽くされ息がしにくく、頬は溢れ出た唾液と生理的に流れる涙に濡れていた。後頭部に頭を包むように押し当てられた左手が、痛くはないが容易に逃げられないような力で頭を固定し空いた右手が執拗に頬を拭う。
離してと上着の黒いインナーを引っ張り訴えれば余計に奥まで押し込まれた。

「んな涙目してもダ〜メ。俺がイクまでおくちで頑張ってね」
「!んん―、っん」
「ほら裏スジに舌這わせて、ただ突っ込んでるだけじゃ俺イけないって」

あんたが奥まで咥えさせた所為で何も出来ないんでしょうが!!
抗議の意で涙で滲む視界の中銀時を睨み付ければ、何故か色っぽく歪む男の顔。

「っ……、***、、」

吐息に乗せるように名前を呟かれ背筋がぞくりと粟立つ。銀時はぐっとまぶたをきつく瞑ると顎をきつく捕まえてきた。そのまま、ずるりと抜けていく熱にほっとするのもつかの間。

「悪ィな、、ちょっと苦しいの我慢な……」
「んぐっ……!!」

言葉の意図を理解するより前に再び押し込まれた。それを数度繰り返すと吐き出される青臭い液体。

「ん゛んんんん!!!」
「っ、……く、」

押し付けられたせいで***の意思に関わらず大半を飲み込んでしまったが、残った精液が喉に絡まり苦しくなる。吐き出したい、苦しい。離して欲しいと目で訴えれば返された言葉は非情。

「お口に残ってるのもごっくんしな」

吐き出したのにも関わらず再び固くなるものにプラス、頭を抑えていた手が離れ鼻を摘んでくる。これでは息ができずに飲み込むしか手段がなくなってしまう。

「銀さんの飲むのいや?」

銀ちゃんのが嫌な訳ではない。だけど苦いのが嫌。喉に絡みついて来るのが嫌。知っているはずなのに時々こうして要求してくる辺りこの人はドSだと再認識させられる。

「ごめんな、でも今日はごっくんな。今日のお前の上のお口は下のお口と一緒だからな」

苦しさから生理的に流れる涙を拭ってくれる指は優しいのに、謝っているくせに表情はとても楽しそうで、ホントにホントのドSだ。こうなったら絶対に引いてはくれない。そしてそんな銀ちゃんに下腹部が疼く私はどうしようもないくらいにドMなんだろう。
こくりと咥内に残ったどろりとしたものを飲み込み銀時の目を見れば頭の中が麻痺してくる。
あの目は征服欲を満たしたケダモノの目だ。そしてそんな目で見下されて満たされる私はなんだろう。被虐欲に溺れる変態なんだろうか。

「よくできました」

鼻を摘んでいた手と口の中を満たしていた熱がやっと抜けていく。

「それにしても、なんてツラァしてんの?ごっくん嫌だったんじゃなかったけ?」

酸欠で力が抜けぺたんと座り込めば同じように視線を合わせて顔を覗き込んでくる銀時。ぐっと顎を掴まれ上向かされる。

「なんかイった後みたいな顔してんだけど、なぁ?***」

顎を掴んだ手が後ろ頭に添えられ引き寄せられる。体格差で浮いた臀部にするりと伸びた手が秘部に這わされた。

「はっ、…大洪水だけど?」
「ん…っ、ああ!」

ずぷりと指が2本遠慮もなく根元まで捻じ込まれる。

「突っかかりもせず入ったぞ」
「ひ、や、ぁまって……!」
「待つの?足りないの間違いだろ、本当は何が欲しいんだ」

奥まで入った指が出し入れされ気持ちのいい所を優しく擦ってくる。焦らしに焦らされたそこはそれだけでも嬉しいとひくひくと震えて銀時の指を食い締めるが、絶頂に至るまでには刺激が足りない。

「***は銀さんの咥えて精液ごっくんしてぐしょぐしょに濡らす淫乱ちゃんだから言えるよな」
「銀ちゃんっ、も……やぁ!、、むりッ、なの…っ、」
「何がムリなの?銀さんちゃんと言ってくれないとわかんねーってさっきから言ってんじゃん」
「…っ、ぉねが、!いじわる、しな…でっ、ん」
「そんな可愛い顔して言われても逆効果。俺もう抜いたし終わってもいいんだよ?」
「ひ、やだ!!銀ちゃんずるいぃ!」
「いまさらー」

軽口を叩くが***の月のものに付き合って一週間はお預けを喰らっていたのだ。さっきと比べれば落ち着いてはいるものの一回抜いただけでは当然足りない。その証拠に男の証は反り返ったまま欲望を顕にしていた。だが銀時の指が与える刺激に、意地悪に翻弄され余裕のない***の視界には入らない。

「んな泣くなって。可愛すぎてもっと虐めたくなんじゃん?」

言葉通りぬるりと指が出ていき触れるのを止めると、胸元に優しく口付けを落とし肝心な膨らみの頂を避け時折吸い付いては跡を残していく。

「あ、ぁ、…いやあ、やだっ」

触って欲しいとこはお預けと背に手を添える体勢で胸元に擦り寄ってくる銀時に、これ以上虐められるとおかしくなってしまいそうだった。

「や、いやなの、…銀ちゃん、」
「何がいやなの?」
「い、いじわる、しないで…」
「お前が素直になったらやめたげるよって何回も言ってるけど?」

ぺろりと口から突き出された舌が胸の突起を舐める。

「ひっ、…ん、!」

だがそれは一瞬で、膨らみに移動し先程付けた赤い痕を丁寧に舐めていく。

「***、下見てみろ。お前の垂れた蜜が下、汚してるぞ…、俺ので奥まで突いて欲しいのって必死に訴えてる。なあ***」

これだけ身体で示していながら上のお口はいったいいつになったら素直になんの?

耳から吹き込まれる己のみだらな醜態に、愛しい男の声に快楽で溶けた頭の芯を揺さぶられる。
言いたくないの、だめ、欲しい、いや、欲しいっ、、!!

「ちょうだい……ほしい」

せめぎ合った感情が僅差でおちた。

「銀ちゃん、ちょうだい、ほしいの」
「よく出来ました。いいこ。いい子だからもう少し具体的に言えるよな」
「ぐたいてき…?」
「分かんない?なら復唱して「***のぐじゅぐじゅにとろけていやらしく誘惑するここに、銀さんの入れて沢山突いて気持ちよくしてください」はい、どーぞ」

卑猥な言葉を耳元で並べ立てられ、ぐわりと顔が熱くなる。
欲しいと言っておいて、今からすることはとんでもなくえっちな情欲を満たすための行為なのだとはたと気がつくと恥ずかしくてたまらなくなる。
それでも、それでも欲しいと今は体も心も叫んでいた。

「わ、わたし、のぐじゅ、ぐじゅにとろけて銀ちゃんを、…その、」

口元が羞恥で震え、言葉を上手く発することが出来ない。
そんな姿を楽しむように銀時は眺めた。
好きなだけ羞恥に塗れればいい。自分が欲したものが、いかに色欲塗れで淫らな事かしっかり刻み込め。そうして欲望に素直になりながらも羞恥を持つ***は熟れて食べ頃になるのだから。

「誘惑するえっちな?」
「ゆ、誘惑する…えっちな、、〜〜っ!……、もうムリぃ、お願いだからいっぱいして」

言葉を切るとぎゅうと抱きついた。今まで一度もこんなにも恥ずかしい言葉を言わされそうになった事なんてない。恥ずかしくてどうかなりそう。今日はとっても意地悪だ。

「お強請りも出来ねェとはな。まァ仕方ねェか。いっぱいしてって言ってくれたしな」

逃げられないように腰を両手で掴まれ胡座をかいた足の内側へと秘所を導かれる。
まって、なにか不穏な言葉を聞いた。いっぱい?

「あっ、んん、…はぁ、まっ、て!、ああ」

対面座位で猛った欲が隘路をじわりじわり、かき分けていく。

「あ、、っ、おねが、」
「いいよ。***の願いならちゃんと聞いてやるよ。いっぱいって激しくのいっぱい?それとも長くのいっぱい?どっち?」

ああ、やはり良くない事だった。なんでいっぱいなんて口走ってしまったんだろう。

「んん、ッ、あ、はぁ…ん」

自重で深く入り込んでくる熱は、こつりと奥に当たった。

「んっ、」
「はぁ、すっげえお前のなか、欲しかったもの咥えこんで喜んでる。なあ***」

焦らされて、欲しかったものを貰えて悦ぶぐしゃぐしゃの顔を見られたくなくて俯いていれば、掬われる顎。
目が合えばそこには同じくらい満足そうな顔をした銀時がいた。
ふっと息を吐くと口唇がふにっと触れる。

「う、にが…っ」

顔が離れるとぺっぺっ!なんてギャグみたいな動作を取る銀時に笑いが零れた。

「自分がさせたんでしょ」
「それは、お前が突っ込んでって言ったから」
「言ってません、ほらちゅー」

今が仕返しの時だとばかりに頬を両手で掴むとこれでもかと口唇を押し付けて、閉じられたそこをぺろぺろと舐め上げる。

「ちょ、犬か、!おまえは!すとっぷ、んっ」

開いた口にちゅうと吸い付き舌を絡ませれば、降参とばかりにそれに応えてくれた。
手首を掴まれそっと外され逆に頬を掴まれて、熱い舌が口内を舐め上げる。

「う、…っん、ふ、あっ、!んんっ」

それと同時に下からぐっと腰が押し上げられた。

「ん、はっ、やぁっ、…あっ、」

緩やかな突き上げは激しくはなかったものの、体勢のせいで奥まで刺激が苦しいほどに伝わってくる。

「あああっ、!…んっはぁ」

焦らされて切なくなったそこに溜まった甘い痺れが軽く弾ける。
きゅうっとしまる隘路がそこにいる熱を食い締めて余計にじくりと快楽が増した気がした。

「今軽くイった?ぎゅってした」
「…ん、きもち、良くて」
「それは良いことで、」

ぐりぐりとさらに奥をこじ開けるかのように熱が押し付けられる動きに変わると圧迫感が大きくなる。

「あ、銀ちゃん…、おっきくなっちゃだめ」

少し苦しくなった下腹部に耐えながら銀時の首に腕を回す。触れた肌は汗ばんでいてしっとりとしている。
銀ちゃんも興奮している。そう思うと胸がきゅうとなる。

「おっきい方が良いんじゃねぇの?こうやって、ぎちぎちの中、突かれて抉られて。気持ちいいよなァ」
「あ、ひっ、だめ、あ、…」
「なあ***」

ぬるり。交わり合った上の敏感な突起に銀時の指が絡む。焦らされて殆ど触れられていなかったそこを、指を押し付けられてすりすりと上下に擦られると先程の比にならない甘い痺れが体を震わせた。

「んんっ、あぁああ…!」

気持ちのいい痺れ。うちに咥え込む熱は遠慮もなく達したそこをぐちぐちと苛んだ。

「あ、…ひぁ、ああ、まっ、て…あぁ!、ひ、だめぇ…」
「気持ちいの間違いだろ、ほら、中びくびくってして」

後ろに逃げようとする体をぎゅうと抱え込まれ押し戻される。

「…ッ、ぜんぶ、受け止めろよ」

切羽詰まった声が耳元で囁くと、熱が弾ける。

「ひ、っ…あぁあ、あ、!」

どくりどくりと弾けた熱が体の中を犯していく。
勝手に逃げようとする腰を掴まれて、吹き上がる熱が全部出てしまうまできつく抱きとめられたままだった。

乱れた髪の毛を銀時の指がそっと耳にかける。顕になるぐしゃぐしゃの顔を撫でつけ柔らかい口唇が触れる。
そうしてごろり。褥の上に体を横たえられた。まだ繋がった所がぐちゅりといやらしい音をたてる。
ああ、拙い。これは非常に拙い。そう思ってももう遅かった。
のしかかってくる銀時からぽたぽたと汗が落ちて肌の上を滑る。小さく弧をかく口元が恨めしく感じるも降ってくる甘いキスがそんな心を解きほぐしていくから不思議だ。
足を抱えられてぐっと奥まで入れられてずるりと入口付近まで抜けていく。先程までとは違い長い抽挿にごぽり、出されたどろりとしたものが臀部に伝っていくのにまでひくりと反応してしまう。

「ん、っ、は…ぁ、ん」

そこに出したものを塗りたくるようにゆっくりと動き刺激してくる。達した脱力感と合わせて微睡みの中にいるような心地の良い甘い痺れだった。
緩やかに累積される痺れは同じことを繰り返されているだけなのにじんじんと強くなっていく。

「ぁあ、…銀ちゃん、もうっ…きちゃう、はっ」

激しいわけではないのに緩やかに、確実に追い詰められていく。

「とろとろのここに俺のを入れたり出したりしてるだけなのに、ここも」

繋がった上の敏感な突起を。

「こっちも」

ふたつの円やかな膨らみのてっぺんで、きゅうと立ち上がったふたつの突起を、さわりと指先が掠めた。

「立たせすぎ。ここをギューってして、こっちも舐めしゃぶったら即イキしそう?」
「あっ、だめぇ…っ」

銀時の言葉だけで勝手に体が反応して快感が高められてしまう。

「なに想像しただけでイきそうになってんの、変態」
「あぁ、っ…あ、だめってば、吸っちゃダメぇ!」

唾液を纏った舌がべろりと立ち上がった乳首を舐めると、じゅぷりと銀時の口へと吸い込まれる。じゅっと吸われて体が跳ねた。

「んっ、ちゅ…、こっちも」

どちらの体液か分からないもので溢れた場所をぬるりと指が這い突起を摘んで、くにゅくにゅと弄られる。

「ああああっ!…っ」

びりっとした電気みたいな感覚に切ない熱が弾ける。それなのに構うことなく擦って抉ってくる熱い剛直に息が詰まる。

「あぁ…ああ、あっ、ひ、いってる、!いってるっ、の」

過ぎる感覚に必死に上に逃げようとする体を肩を抱かれて押し止められる。敏感な突起を舐めて擦って責め立てることを止めることもしてくれない銀時に何か言いたいのに口からは単語しか出てこないし、体は何度も達する感覚に呑まれてまともに動かない。そんなふうに考える頭もどんどん追い詰められていく。

「は、気持ちよすぎ、…ほーら、もう1回」

なんの話し?なんて思っていたらこつりと、奥まで押し付けられる熱。子宮口に遠慮もなくこすりつけてくる熱の先端の震えを感じてその先を想像してしまった。

「あ、あ、だめ…、だめぇ!」
「ダメじゃねーだろ、これもいっぱい、お前の腹の中に出してやるよ」

かけられる言葉にすら感じてしまい、きゅうきゅうとうちが震えて止まらない。それに反応したように迸る熱が奥に叩きつけられた。

「ひ、あああぁ〜っ!あっ、あぁ」

奥の奥にまでじんわりと入り込んでくる熱さにひくりと震えが止まらない。
ぎゅうとシーツを掴む指を絡められて優しく握りこまれる。
はぁと息が漏れる喉はいつの間にかからからで、唇はぬるりと舌で舐められ吸われた。
何をされても全て甘い痺れになってぎゅうとうちにいる銀時を締め付けてしまう。一度落ちたら上がってこられない沼のような快楽に、頭の芯が痺れて苦しいくらい。なのに

「はっ、イキっぱなしよわよわのここ、もっと突いていい?」
「い、…!だめぇ、も、…むりなの、あ」
「ほらここ、いっぱいして欲しいんだったよな」

ずるりと抜けて入ってくる熱に、ずるずると擦られるだけで体がばかになったみたいに反応する。

「も、…ぁ、むり、あああっ、ひ…ああ」
「お前が欲しいって言ったんだ、いいだろ。もっとしてやるからたくさん気持ちよくなれよ」

じゅるり耳を舐めあげられて再び絶頂へと追いやられた。




「………」
「銀ちゃん、***とまた何かあったアルか」

だるそうに目の下にくまを作った***が白いほかほかのご飯の上で生卵を持って固まっている。
起きてからずっとぼんやりとしていた***は遂にこの状態で停止してしまっていた。
銀時が飲み歩いた翌朝は大抵***はぼんやりしている。それを知っている神楽は慣れてしまっていて触れては来ないが、いつにも増して今日は酷かった。

「へ!?、あ、ちょ、ちょっと疲れてんじゃね?昨日俺を待ってて夜更かしさせちまったみてェだし…?」

***の目を見ることが出来ず、それなりの理由を神楽に伝えれば

ぐしゃあ!

なんて音が***の手から聞こえた。

「***どうしたアルか?!」

ぼたぼたと滴る黄色いものと透明なものが***の手から落ちている。
よく見れば無惨にも握りつぶされた卵。

「……いや、ちょっと、卵がなんだか、ふわふわの銀色の頭に見えて」

びくぅっとした。
え、なに?***ちゃんそれって俺の頭じゃないよね?

「銀色?卵は白色アルよ」
「そうだよね、何言ってんだろ、あたし」

手を開くとごしごしとティッシュで拭い卵かけご飯(から入り)をむしゃむしゃと食べ始めた。

怖い、怖すぎる。
怖過ぎて白いご飯と、とろとろとした卵のかき込むだけの組み合わせなのに朝食が全く喉を通る気がしない。
隣で3杯目をおかわりし、かき込んでいく神楽とは大違いだった。

「あ、あのよォ、***」

ぴたり、***の箸が止まる。
どうしても目が見られなくて目が泳ぐ。
そんな視界の端に気を使ったのか定春と出ていく神楽の姿が見えた。
あとで酢昆布多めに買っといてやろう。なんて頭の片隅で思いながらも口を開いた。

「わ、悪かった」
「………なにが?」

端的な返事は、一体に何に対して謝っているのか事細かに教えてくれというスタンスに見える。

「なにってそりゃ、昨日の晩のことしか、ねーだろ」

***は茶碗と箸を机に置くと、じっとこちらを見てくる。
冷や汗が止まらなかった。

「いいよ。別に怒ってないんだよ。ただね、反省してただけ。分かってたのに心配しちゃうし、結局良いようにされて変な事口走っちゃうの、気をつけなきゃなって」

暗に酔った銀時を心配したり、まともに相手をした自分が間違っていたと言う***に慌てた。

「これまで以上に私も気をつけるし、気にしないでね」

並べ立てられる言葉たちはとても思いやりのあるものに感じられるが、すごくトゲが含まれている。

「お前は俺を心配してくれてただけで何も悪くねェだろ。それを俺が」

悪酔いしてその優しさにつけ込んで好き勝手しただけ。
そう思い至れば怖いとか目を見られないとか思っている場合ではない気がした。顔を上げて***の目を見ればするりと出てくる謝罪のことば。

「悪かったって思ってる」

寝不足でくまがあるものの、思っていたよりも***の表情は暗いものではなかった。

「ふふ、本当に悪いと思ってる顔」

小さく笑うとイタズラが成功したとしたり顔な***に、上手いこと誘導されたことに気がついた。

「お前なァ、ああもう…悪いって思ってますよ。眠てェって言ってるのに引きずって良いとこばっかり突きまくってあんあん泣かせて。すごく良かったくせに」
「ちょっ、」
「良かったくせに。いいんですか?もうしなくても」

もうしない、そのひと言に顔色が変わる***に畳み掛ける。

「全肯定とはいかなくても気持ち半分くらいは俺とのえっち気持ちいいって思ってただろ?」
「聞き方…!」
「あ、?じゃあ俺とのえっち好き?」
「それも大差ない!」

むっとむくれ顔をしつつも***の頬は赤く染っている。いつでもなんでも口では色々と言うけれど、受け止めてくれるその横顔にそっと顔を寄せて触れるだけの口づけを落とした。



♭2023/02/17(金)



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