小説 | ナノ
 


先生が同級生ってシチュエーション、なかなかないと思う。
しかも、先生との恋も同級生との恋も味わえるなんて一人で二度美味しい!
この年頃の女子は大抵恋に恋している訳で。もちろん私も例外なく、ちょっぴり危険な香りがする大人な恋も、青春真っ盛りな甘酸っぱい恋にも憧れるわけで。

だから私は、奥村先生に恋しました。





夕日が注す放課後の教室に、奥村先生と私の二人きり。

先生が神妙な顔して、僕を好きになったきっかけを教えて欲しい、って言ったから教えてあげた。

「……え、終わり?」

「はい、終わりです」

「告白してくれた理由がそんなのだったんだ……」

「そんなのって失礼ですね」

だって恋に恋してる年頃ですよ?きっかけなんてこんなもんですって。

「両想いだったんだから、よしとしましょうよ、ね!」

好きになった理由がそんなにもショックだったのか、ガックリと肩を落とし椅子に座り込んだ。
こんなところを人に見せるなんて珍しい。先生はいつも完璧だから、こういうところを見ると、先生も教師だけど15歳なんだなぁって思う。このギャップが私をキュンキュンさせてることは言うべきかなぁ。

「せんせー、元気出して下さいよ。きっかけは、まぁアレですけどちゃんと先生のこと好きですよ」

「…!そっ、んなことわかってます」

あぁ、あまり顔に出ないけど、頬がほんのり色づいた。
やっぱり可愛いね、先生。

「先生の好きなところは、優しいところでしょ、いつも真面目なところ、真剣に話を聞いてくれるところ、実は奥手なところも、好き。あとは…」

「も、もういいです!!分かりました!分かりましたから止めてください…!」

ほんのりと色づいていた頬が、みるみると赤くなっていく。とうとう熱があるんじゃないかって思うぐらい赤くなった。奥村先生が、耐え切れずに手で顔を覆う。
これ以上私をキュンキュンさせないで欲しい。
心臓の鼓動が聞こえるんじゃないかって心配になるぐらいバクバクいってる。

「こうやって褒めたら照れて顔を赤らめるところも」

「ぜんぶ、ぜーんぶ引っくるめて、」

ちゅ、と可愛いリップ音が鳴った。
自分からキスしたのが恥ずかしくて、目線を下げる。口元をカーディガンの袖で隠してこっそり先生の方を盗み見ると、口をポカンと開け、メガネはずり落ちていた。

呆然としている先生が口を開くよりも先にもう一度あの柔らかい唇にキスを。



「雪男くんのことが大好きなんです」



飛び切りの笑顔もプラスしてあげてね。



sweet kiss
(ぼ、僕も××さんがす、すすす…っ!)



2011.10.12
2013.01.26 改訂



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