小説 | ナノ
 


青峰大輝とは、大衆が持つ男子高校生のイメージを裏切らない人物である。男子高校生らしくグラビア雑誌を始め、健全なものから成人向けまで様々なジャンルのアダルト雑誌を持っていた。
女子高生の中には、彼女がいるのにエロ本持ってるなんて最低だと感じる人もいるようだけどこれについて私は、法を侵さない限り個人の自由だと思っている。
思っているがそれは私の貞操の安全が確保されている場合のみと付け加えておこう。

つまり、勉強中の私の胸を背後から揉みしだくのは、全く以って迷惑行為なのである。

「…ちょっと大輝、気散るから揉まないで」

「あー?」

私の言葉を聞き流しているのか大した反応は返って来ない。反応が返ってこないどころかそのまま胸を揉み続けている。テストが近いから勉強しようと言ったのは大輝からだったのに。…まぁ言われた時からすぐ勉強に飽きるだろうな、とは思っていた。思っていたがこれは予想外だ。
大輝は私の後ろ側に回り、足の間に私を座らせ包み込むような恰好をしている。
それは別に構わない。よしかかってくる訳でもないし、彼との身長差を考えたらこの体勢の方が楽なのかもしれないし。
そこじゃないんだ、問題は。
現在期末考査に向けて勉強中の私を、あろうことか、胸を揉んで邪魔しているのだ!
ほんっとに信じらんない、このバカ男め!

「俺こんなに巨乳好きなのに何で女に生まれなかったんだ」

さっきから何を深刻な顔で考えているかと思ったら胸が欲しいだなんて。まったく、本気でへこんでいるのだから手に負えない。

「はー…大輝ってば分かってないなぁ。巨乳もね、見た目はいいかもしれないけどすっごい肩凝るんだからね…!」

「あー、まぁそうだな。俺が女だったらお前の胸揉めねぇもんな」

そういうことじゃなくってね…。まるで話しが通じていない。呆れてしまって非難の声は言葉にならずにため息として吐き出された。

「なぁ、××のおっぱい揉んでもいいか?」

「ばっ、ばか!何いってんの!」

大輝はわたしの言葉を待たずに服の上から優しく揉みしだきだした。下から持ち上げ大きな手の平で胸をすっぽりと包み込む。
大輝は馬鹿だしアホだしエロいけど、こうやって強引にその気させて持っていくのが上手い。

「…って大輝!今日は流石に勉強しないとまずいから!」

胸だけでは治まらず、お腹や太股まで縦横無尽に動き回る。その手を止めようと必死に身をよじるが、大輝はお構いなしに揉みつづけた。わたしの呼吸もだんだんと荒くなっていくの感じた。

「おっ、やる気になったか?」

大輝がにやにやしながら聞いてくるが、耳には半分も入ってこなかった。パンツの奥が湿るのが分かった。すっかりわたしもその気になり、自分から腰を上げると後ろから太股を持ち上げられ膝に乗せられる。

「いいねぇ、エロい××ちゃん好きだなァ」

大輝が喉奥でククッと笑い、音が耳に直接響く。このままベッドで事を進めようとした空気の中、部屋のドアが勢いよく開いた。

「ちょっと大ちゃん!××ちゃんに迷惑かけてないでちゃんと勉強しないと困るのは大ちゃんなんだからね!」

「おっまえな〜…いいとこなんだからさ、空気ぐらい読めよ。つーか××に迷惑かけてねぇしよ」

「じゃあ今しようとしてることは何?せっかく勉強教えてくれてるんだから邪魔しないの!」

開いたドアから入って来たのはさつきちゃんだった。大輝と言い争っている内容をよく聞くと、どうやら先輩から頼まれて来たようだ。ということは、先輩にはこうなる展開が読めてたんですね…。とほほ…。
大輝と出来なかったことにほっとした。少しだけ残念な気持ちになったことは言わないでおこう。
とりあえずテスト勉強を出来ることをさつきちゃんに感謝しなければ。




2013.02.23



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