「ぶはぁ!!」
ザバーッ!と勢いよく水面から顔を出した。脳が酸素を求めて過呼吸気味に空気を体に取り込む。
「げほっ、ごほごほ…!」
なんなんだ、いったい!
口の中はジャリジャリするし、水が肺に入って苦しいし、まだ今の状況が掴めない。
「……♯$%;&*¥?」
声が聞こえて思わず後ろを振り返ると綺麗な顔した男性が佇んでいた。しかも、裸で。
イケメンな男性がいるならば見ますとも、えぇ見ますとも!目の保養になりますもの!それこそガン見の勢いで見るがそれは普段の場合であって、こんな裸の状態での対応などマニュアルにはありません、教官!
「♯$%;&*¥?」
もう一度イケメンに尋ねられたが申し訳ない、何を言っているのかまったくわからない。何語を喋っているのかすらわからない。
しかし、この男性はさぞかしモテるのだろう。何度見ても見惚れてしまうほどのカッコ良さだ。流れる黒髪に、吸い寄せられそうな瞳、そして強い意志の表れの形のよい眉。
極めつけはガッシリとした体。しっかりついた筋肉には、ついうっとりしてしまう。運よく裸だったから、上腕二等筋から腹筋まで余すとこなく見れて眼福だ。
……………ん?
……はだ、か?
…裸?
いろいろパニックになっていて忘れていたが、目の前にいる男性は裸ではなかっただろうか?
すー、っと視線を下に下げれば大事な息子さんがコンニチワしていた。
「…っ、ぎゃあああああああ!!!!」
なんで、なんでタオル巻いてないのよおおおおお!!!
あまりの衝撃に目線は固定されたまま、私は絶叫した。
2011.9.7