7月、学校の休み時間。


友達から聞いた話は、私にとって衝撃的で。



「えっ!?
今日ってそんな日だったの!?」

私がそんなことになったら…

うぁーだめだ、
考えただけで涙が出てくる



「何、あんた
『あれ』聞いただけで泣いてんの?」



友達が呆れ顔で見てきているのは気づいたけど、それどころじゃない私は、



「ツナのところ言ってくる!」


なりふり構わずクラスを飛び出た。




ちょうどいいことに、ツナはツナのクラスへ向かう廊下を山本くん、獄寺くんと歩いてて。



「ツナ〜」


私はツナに走り寄っていくと、勢いよく抱きついた。



「ん?…うわっ!」


驚きながらもちゃんと受け止めてくれるツナ。



廊下での行動だから、周りに人が集まってきているのがわかる。


「イヤー」という叫び声も聞こえてくるし。


ツナ、モテるもんね…



(実は自分も男子からモテていることに気づいていない梨奈だった)「何?どうしたの、梨奈?」


「ツナ…」


「えっ!?なんで涙目?」


「う〜」





(おい、沢田が泣かせてるぞ)

(俺たちチャンスじゃん!)

(じゃあ男子頑張ってよ)

(うちら、沢田くん狙うから)




唸る私の頭を撫でながらも、ツナがぴくっと反応して周りを見渡した。



「…ツナ?」


「なんでもないよ」


ツナは見上げた私の目の端にある雫を自分の服の袖で乱暴に拭くと、



「どうしたの?」



優しく、心配そうに聞いてきた。



「ツナは今日、何の日か知ってる…?」


「今日?
……7月7日は…七夕?」


「うん」




私の言いたいことがわからず、ツナはもちろん、まわりにいるみんなも首を傾げている。



そんななかでも私はまた思い出して視界がぼやけていく。



「また泣いて…
七夕がどうしたの?」



ツナが苦笑して。



「あのね、今日聞いたんだけどね…

織り姫様と彦星様は1年で今日しか会えないんだって


「…」



みんなは沈黙して、私のぐずる音だけが聞こえる。




「…梨奈、それ、みんな知ってるよ」


「うそっ!?」


「ホント
俺的には、なんで梨奈が泣いてるのかわかんないんだけど…」


「だって2人も恋人同士だよ?…私だったら、ツナと1年で1回しか会えないって考えるだけで…」



途中でグイッと手を引かれて遮られた。

そのままツナの腕の中に収められる。




(沢田、場所変われ〜!)

(俺もあんなこと言われてみてー)

(てか、沢田くんもうベタボレだよね)

(もー、いぃな〜梨奈)




ずっとまわりにいたみんなは深いため息をついて散らばり始めた。



「梨奈、」


「う〜?」


そのまま溜まっていく雫をなんとか堪えながら大人しくされるがままにしていると、上から声が降ってきた。



「2人みたいになったら、て考えて俺に会いに来たの?」


そう聞いてくるツナの声は、いつもより少し明るくて。



「…うん」



控えめに頷いてみる。


「だって…1年も会えないなんて…」


すると私を包んでたツナの腕の力が強くなった。


「大丈夫」


「?」


「たとえ俺と梨奈が彦星様と織り姫様みたいになっても、俺、どんなことしてでも梨奈に会いに来るから」


ツナを見上げると、とろけるくらいの笑顔で私を見ていた。



私もつられて笑顔になって。



「…約束だよ!」




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そういえば七夕じゃん!
ということで書き始めたこの話

最初の予定からズレにズレまくって甘甘になりずぎました

今年の七夕は晴れてるので2人は無事に会えたんでしょうね!










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