今でも思い出される。

真っ暗闇の中、唯一私に手を差し伸べてくれた、

背中から光を受けるあなたの姿を。














敵対してたファミリーに両親を殺され、仲間が目の前で拷問され、友達はいなくなり、

私は独り、監禁されていた。


最小限生きるのに必要な食料や物は用意されていた。


でも、光がなかった。



今が朝なのか、昼なのか、夜なのか。

時間の狂う毎日を、ただ植物のように生きていた。




そんななか、


「大丈夫?」


差し伸べられた温かい手。



久しぶりに浴びた日光に涙が出た。

逆光のなかで見た、彼の笑顔に涙が出た。



なんて
黒が似合わないひとだろう

と。















あの場所から連れ出されてからもう1年。


未だに彼が"マフィアのボス"というのが信じられない。





目の前で光に包まれて笑う彼は
どんな苦しい目にあっても、
どんな悲しい目にあっても、
どんな辛い目にあっても、


"黒が似合わないひと"
で在るのだろう





The white king








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