朝起きたとき、
隣にいたはずのぬくもりが、なくなっているのが嫌だった。
強く握っていたはずの手が、離れているのが嫌だった。


















「ん、…」



意識が浮上して、まだぼんやりとするまま起き上がった。



「しょ、ちゃん…?」



眠る前に見た、緩く笑った翔ちゃんの顔を思い出して隣を見るけど、もう、いなかった。


ぼすん、と翔ちゃんが寝ていたであろう場所に軽くダイブすると、かすかに残る、温もり。



「しょーちゃん…」



声はアイボリーの壁に吸い込まれて、むなしく消えた。







部屋を見渡すと翔ちゃんの物で埋め尽くされた翔ちゃんの部屋。

翔ちゃんはいないのに、翔ちゃんのにおいがするのが寂しくなったりして。


昨日、朝早くから仕事って言ってたじゃん
分かってて止まったのに、なに寂しくなってんの
あたしのあほ


しばらく顔をベットにうずめて自己嫌悪。
でもいつの間にかまぶたが重くなってきたから、怠い体をむりやり起こしてベットから降りた。

今日は金曜日。
あたしだって仕事があるから二度寝している場合じゃない。



前泊まったときに置いていった服を着ると、寝室を出てリビングに行く。

ふとテーブルに視線を向けると、



「…あれ?」



ラップがされたお皿と、走り書きのようなメモを見つけた。



"おはよう
朝、一緒に居てやれなくてごめんな
いってきます"



短い文章。
でもすごく翔ちゃんの気持ちが伝わってくる。


時間がないはずなのに朝食を作ってくれて、置き手紙まで書いてくれて。

それだけで、怠かった体も、沈んでた気分も元気になる。
大事にされてるなぁ、って実感できる。


よし、今日もがんばろうっ!



どんなに会える時間が短くても、
どんなに翔ちゃんのまわりにあたしよりずっと綺麗な子がいても、
今が幸せだから。
翔ちゃんを信じられる。













朝起きたとき、
隣にいたはずのぬくもりが、なくなっているのが嫌だった。
強く握っていたはずの手が、離れているのが嫌だった。

でも、

beside you
(あなたは傍にいる)





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むりやり終わらせた感がすごい(´Δ`)

ごめんなさい









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