「んーー…」


隣で目をこする瑠璃。

無言で見ていると、眠そうな、トロンとした目と目が合った。



「眠い?」


「ちがくて…今日ずっとパソコンしてて目が疲れたから」



明らかに睡魔に追われてるように見えるけど…。



「もう寝るか?」



そう言って、それまで一緒に見ていた映画を止めようと、リモコンを握る。



「や、だいじょーぶ」



けど瑠璃の頼りない手でリモコンを取り上げられ、手を握られた。

そのままくたっと寄りかかってくる。



「…瑠璃、」


「んー?」


「無理すんなよ?」


「何がー?」


「絶対眠いだろ」


「…眠くない」



頑なに否定する瑠璃だけど、言った直後にあくびしてるから説得力なんて皆無だ。



「よし!やっぱもう寝よう!」



瑠璃の手からリモコンを奪い返すとテレビを消して、繋いだままの手を引っ張る。



「ほら、瑠璃」

「…やだ」


「なんでだよ、眠いんだろ?」


「だって!」


「だって?」


「だって久しぶりに会えたのに…もう寝ちゃうなんてもったいない」



トロンとした目、
舌足らずな言葉、
そして寄りかかりながら上目使いときたら、もう…。

かわいすぎるだろ!
この状態の瑠璃はだめだ!



「翔ちゃん?」


「うぇっ!?お、おう」


「…どうしたの?」


「…なんも」


「ほんと?」



そう言いながらもまたあくびをしている。

かわいいな、チクショウ。



「…よしっ!じゃあ布団の中で話そうぜ
それだったらいいだろ?」


「うん!やったぁ
翔ちゃんの腕まくらー」



もともと映画を見終わったら寝るつもりだったから、とくに着替えなどすることなく寝室に移動する。


着くと真っ先にベッドにダイブしたからよっぽど眠いんだろうな。



「ほら、翔ちゃん
おいでー」


「いや、ふつう逆だろ」



布団に入った瑠璃は布団を開いて俺を招き入れる。


それは男の役目だと文句言いながらも、明かりを消すと素直に布団に入って瑠璃を抱き締めた。

あー、いい匂い
なんか瑠璃って甘いんだよなぁ…
今日は同じシャンプーのはずなのに



「なぁ、瑠璃…」



風呂入った後に何か塗ったりしたか?
聞こうとしたことは音にならずに終わった。



「…もう寝てる」



腕の中にいる瑠璃が穏やかな寝息をたてている。

口が少し開いてるところがなんとも言えないくらいかわいい。

てか寝るの速すぎだろ

頑張って俺との時間を延ばしていてくれたことに気づいて、心があったかくなった気がした。


「大好きだぜ、瑠璃
…愛してる」



薄い唇に触れるだけのキスを落とすと、俺もそのまま眠りについた。


今日は久々にぐっすり眠れそうだ







- ナノ -