涙を隠すほどの笑顔 [ 4/11 ]
「あ、春センパイだ」
昼休み。
教室の窓から、友達と歩いているセンパイを見つけた。
まわりにいた友達たちが隣に並んでくる。
「ツナ、最近あのセンパイよく見てるよな」
「もしかして好き、とか?」
からかうように覗き込んでくる奴に、
「そうだよ」
堂々と言ってやる。
「ツナってああいう人が好きだったんだー」
「まぁ、かわいいけどなー…」
「なんか冷たい雰囲気がするよな」
「そうそう!」
盛り上がり始めた友達たちをよそに、俺はまたセンパイに目を戻す。
…確かに。
この前の悲しそうな笑顔を見ると、過去に何かあったのかもしれない。
だから告白をことごとく断ってるのか、とか、何があったんだろう、とかぼんやりと考える。
でも、今、中庭のベンチでお弁当を食べながら笑っているセンパイはそんなこと感じさせないくらいきれいに笑っていて。
まだ確かかわからないことに悩むのは止めようと思った。
俺はまだ、センパイの隠している過去はしらないから、そう、思えたんだ。
涙を隠すほどの
笑顔
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