あの笑顔が消えない [ 3/11 ]
石崎春、センパイ
3年生で、
2組で、
天然で、
おとなしめで
そしてかわいい
となれば
ほっとくような男はいない訳で
でもセンパイは、
断り続けている
それが、
俺が知ったセンパイのこと
* * *
「おはようございます! センパイっ!!」
「おはよ、沢田くん」
俺が挨拶すれば、にっこりと返してくれる石崎センパイ。
俺がセンパイを気にするようになったのは、ほんの小さなことからだけど、センパイに付きまとうようになってからセンパイの人柄がわかってきた。
温和、天然、人懐っこい
どんな人からも好かれるような、センパイ。
そこまで知るとやっぱ気になる。
男恐怖症でもないようだし、彼氏がいる訳でもない。
なのに告白をことごとく断るのは…?
「…沢田くん?」
控えめに思考の中に入ってきた声にハッとする。
「あっ!?すみません、センパイ 考え事してました」
「うぅん、だいじょーぶ」
ふんわりと微笑むセンパイは、やっぱりかわいくて。
そしたらなんか、聞いてしまった。
「…センパイはなんで付き合わないんですか?」
「…」
「あっ!いえ、…その、答えなくてもいいんですけど…」
聞いた次の瞬間、後悔した。
センパイの柔らかかった微笑みが、
悲しそうな微笑みに変わったから。
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