矛盾 [ 9/11 ]






今日は2学期最後の日。

大掃除を済ませ、終業式を済ませ、明日から冬休みだ。



「じゃ、獄寺くん、山本
今度ねっ」


授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、俺は急いで帰る準備をすると二人に声を掛けて先輩のクラスへ行こうとする。


「今日も行くのか、ツナ?」

「あぁ」

「10代目の誘いを断る女なんてほっとけばいいんすよ!」

「獄寺くん?」

「すいませんっすいませんっすいませんっすいませんっ」


「じゃ、行ってくる」


俺は二人の声援を受けながら教室を出た。



俺は俺でしかないんだから
俺なりに頑張るんだ














「先輩!
一緒に帰りませんか!?」


日課になった先輩への誘い。



「ごめんね、沢田くん
今日もだめなんだ」



いつもはこのまま終わり…
なんだけど、



「沢田くん、明日暇?」


「へ?
あ…、はいっ!」



ちょっとびっくりして返事するのが遅れ、慌てて答える。



「そっか」


先輩はほっとしたような、がっかりしたような、なんとも言えない表情をしていたから、


「はい…?」


俺は先輩の言おうとしてることがわからなくて、ただただ首を傾げるだけだ。


「明日、…並盛図書館に1時に来れる?」


「はい!」



「そう…よかった
じゃあ明日ね、沢田くん」


「はい
気をつけてください」



先輩が教室を出て行っていつものように先輩たちが寄ってきたときも、少しいつもと反応がちがった。



「よかったな、明日クリスマスだろ!」

「ついにだね!」

「沢田くんが誘われたー」


「や、でも、誘われたわけじゃないですし…」


「あれはもう誘いだろ」

「よかったね」


「はい…!」




あまりそんな感じに感じられなかったけど、先輩たちに言われるにつれてどんどんワクワクしてきた。


明日が楽しみだっ!












その俺の様子を見ている影が屋上にあるのも知らず、俺は先輩たちと喋っている。



「ついに明日、言うのか…」その影、リボーンは、そう呟くとどこかへ去り、その場所は冬の冷たい風が吹き抜けた。
















沢田くんと話した後、帰宅し制服から着替えると二階の自分の部屋から下りてくる。

「春ー、
ちゃんと準備してる?」

「うん、お母さん
もうおわったよ」


自分の部屋に積み重なっているダンボールを思い浮かべて、息をついた。


「あら、早いわね
出発は明後日よ?」

「わかってるよ
明日遊びに行くため!」



びっくりしたような顔の沢田くん。

…言ってしまったら、どんな顔をするんだろう




やっと沢田くんに想いを伝えれると思ったのに。

なのに何で。




──一緒に笑って帰った、あの日が遠いよ…



「…沢田くん……」







矛盾

隣にいて欲しかった。
でもひとりにもなりたかった。






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