「どこに隠れる?」


「うーん、社長のことだから至る所にトラップ仕掛けてるだろうしなぁ…」


「そうなの?
なんか楽しくなってきた!」


「お前…まだあの恐ろしさを知らないだろ」



げんなりとした表情で喋る翔くん。


そんな顔するほど嫌なのかな

そう思ったちょうどそのとき、





「ぎゃーーっ!」






あまり遠くはないところから大きな悲鳴が聞こえた。

突然のことに思わず肩をすくめて目をつぶり、廊下に反響する声を聞いていると、何が起こったのかよく分かんないけど怖くなる。



「しょ、翔くん…」


「あー、そんな顔すんなって
慎重に、確認しながら行けば大丈夫だから」


「うん…」



思わず翔くんの服の裾を掴んで見上げれば安心させるように笑って頭を撫でてくれて、少しだけ怖い気持ちが薄れていくような気がした。


それでも完全には恐怖はとれなくて、翔くんの服は掴んだまま前に進む。










「…お前、それ無意識?」


「え?」


「いや、何でもない」



しばらくお互い無言で歩いていると、いきなり翔くんが足を止めて言った。

びくびくしながら進んでいたあたしは翔くんの言葉が指してるものが何かわからなくて聞き返すけど、翔くんはそれ以上何も言わずにまた前を歩き始めた。







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