「よろしくお願いしまーす!」
今日はオーディションに受かってから最初の撮影。
スタジオも撮影も、仕事としては初めての経験で、すごく緊張するけど、同じくらいどきどきする。
緊張を吹き飛ばすように大きく挨拶して入ったスタジオには、もうすでに唯ちゃんが来ていた。
「唯ちゃん!」
駆け寄っていけばあたしに気づいて笑ってくれた。
眩しいよっ、翔くん!
「梨唯ちゃん、おはよう」
「おはよーっ」
「あれ、もう仲良くなったの?
はやいわね」
「はい!」
近くにいたスタッフの人が話しかけてくる。
「あたし唯ちゃんの大ファンで!
一緒に仕事出来るのが嬉しすぎて、この前話しかけたんです
そしたら仲良くなれて…」
「そうなの、よかったね」
「はい!」
スタッフさんはしばらく話すとまた準備に戻った。
すると唯ちゃんが、
「…お前恥ずかしい」
コソッと翔くんの声で言ってきた。
「え?」
「大ファンとか…初耳だし」
「言ってなかったっけ?
あたし唯ちゃんみたいなモデルになりたいの」
「…」
「あれ…照れた?」
黙り込んでしまった唯ちゃんをからかうように笑えば、
「照れてない!
てか女装した姿褒められても、う、嬉しくねーし」
「ふふっ」
「な、何だよ…!?」
「何でもなーい」
「はぁ?」
「唯ちゃん、梨唯ちゃん
準備終わったから始めるよー」
「あ、はーい
…だって、唯ちゃん、頑張ろーね!」
「うん」
わ、もう集中してる…
すごいなぁ
話しかけた唯ちゃんは、さっきまで照れてたとは思えないくらい真剣な顔をしていた。
よし!頑張ろう!
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