「とにかく!
こんなことになったのは俺のせいでもあるんだから、できる限り協力するから!」



身なりを整えながらそう言い放った翔くんはもう完璧に唯ちゃんで。



「言ってることはかっこいいのに…」


「その先は言うなよ」



言わんとしていることを察知してジロリと睨まれる。
まぁ本気の睨みじゃないから怖くはないけど。



「やっ、唯ちゃん
睨まないでー」


「唯言うな!」


「うん、ごめん」


「笑うなーっ!」



くすくす笑うあたしに対して翔くんはさらに顔をムスッとして怒る。

ごめん、翔くん。
だってかわいいもん。


気持ちが高揚したのか、ピンクに染まったほっぺ。

化粧のせいでもあると思うけど、赤じゃなくてピンクに染まる所が唯ちゃんらしいな、と思うと男らしい翔くんとのギャップが大きすぎておかしい。




だからずっと笑っていたらふいに翔くんが、



「…てか俺から言わせてもらうと梨唯のほうがかわいいからな」



なんて男気全開な台詞を言うからさらに可笑しくなって。



「おまっ、笑うなっつてんだろ!」


「ごめっ…ふふっ…
ありがと、翔くん」



ついに出てきた涙を指で掬いながら言えば、翔くんは何かあーぁ、的な顔をしたけどスルーした。



「はぁ…
とりあえず、俺が手伝えるのは3次テストだけだから、2次テストは頑張って受かれよ」


「うん、頑張る!
なんか翔くんと話してたら受かる気がしてきた!」


「あ、そう…じゃ、後でな」


「うん!」



翔くんが出て行く前、蜂蜜色の髪から少しだけ見えた耳は赤くなっていた。







(あいつ…絶対冗談だと思ってやがる
結構勇気だして言ったのに)









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