ここだ…!


小傍唯様、とかかれた紙の張ってある扉の前で息を整える。

走ったあとの高揚感とは別のどきどきが出てきて、一度大きく深呼吸。



よしっ!



服の皺を伸ばして、髪を手櫛ですいて。


コンコン、とノックしようとしたとき…。



「わあぁぁぁぁぁっ」



ガシャーンという大きな音と共に叫び声が聞こえて、声が男の子ということも気付かず、扉を開けた。



「どうしたんですかっ!?」




…………………んっ!?




「いたたたた…」


倒れたパイプ椅子と近くに投げ出されたような格好でうずくまっている人。

それは確かに唯ちゃんなんだけど…髪が男の子みたいに短くて、前のボタンが全部外してあるシャツから見える胸板は、ぺったんこだった。

少し奥には金髪の綺麗なウィッグが落ちている。


これは…、
これは…、
これは…!




「………あっ!」


「…男の子ぉぉぉぉぉぉ!!?」







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