それから、捕まると社長室に行って報告をしなければならないことを聞いて、お二人と別れて、翔くんと社長室を目指して歩いていた…んだけど、





「…着かねぇ」


「社長さん、いろんなところにトラップ仕掛けすぎだよ…」



ただ歩いているだけなのにいろんなトラップに引っかかって、思うように前に進めない。

いつもは5分あれば着く社長室が、とてつもなく長く感じた。










「ついたぁ」


「おう、…開けるぜ」


「うん」



へとへとになりながらも、やっと社長室のドアの前について、翔くんがドアノブを握ったとき、



パァンッ



破裂音と共にドアノブが壊れて、クラッカーのような紙吹雪と何かが飛び出す。




「うおぉぉぉっ!?
…梨唯っ!」


「え、わぁっ」




突然の出来事に動けないでいると、飛び出したものがあたしのほうへ飛んできているのに気づいた翔くんに引っ張られた。

とっさに爆発をよけたままの体制であたしを引っ張った翔くんは、踏ん張ることが出来なくて。



「うわあっ!」

二人して床に倒れていく。

目の前に床が迫ってきて、来るであろう衝撃に身構えて目をつぶったんだけど、



「いててて…」


「…」



…痛く、ない?


床にぶつかる衝撃も、床の冷たさも感じない。

目を開ければ翔くんのドアップだった。



「!」


「ん?、…っ!」



翔くんを押し倒してるような体制で、顔がものすごく近い。



「ごめっ、…うぁっ」



急いで上から退こうとしたら手が滑って、一瞬離れた距離がさっきよりも近くなった。

もう唇が当たりそうなくらいの、翔くんの息使いでさえも分かる距離。



空色の瞳から目が離せなくて、
ぼんやりと翔くんを見つめた。

なんでだろ、翔くんの目に吸い込まれそう





「しょ、くん…」



翔くんの目ってこんなに綺麗だったっけ、とか、
翔くん細いのにちゃんと筋肉ついてる、とか、


早く退かないとだめなのに、そんなことばかりが頭を埋め尽くす。



「…っ梨唯、だ、だだだ大丈夫か!?」



みるみる赤くなった翔くんがぐっと肩を掴んで起きあがらせてくれた。

顔がそらされて目の前に来た髪から覗く翔くんの耳が赤くなっていた。




「うん、ごめん…」




顔が火照って頭がほわほわする。


───あたし翔くんのこと…、








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