「おはようございまーす」
あのあと、オーディション結果を報告しに、事務所に来た。
実はあたしが所属する、シャイニング事務所は家から歩いて10分だったりする。
その近くには社長、シャイニング早乙女が建てた早乙女学園もある。
「あら、梨唯
おはよう、今日はレッスン入ってなかったわよね?」
「あ、葉月さん
今日はオーディションの結果を報告に来たんです」
「そういえば…!」
葉月さんは何かに気づいたような素振りを見せると、顔がくっつきそうなくらいに近づいてきた。
「オーディションに受からなかったら事務所辞めさせられるって噂を聞いたんだけど…」
ヒソヒソと声を潜めて聞いてくる。
「そうなんです…」
「理由とか…聞いても大丈夫?」
「えっと…」
翔くんのことは言わないほうがいいんだよね?
「ちょっと偉い人の前でやらかしちゃって…
でも、受かったんで大丈夫です!」
「あ、よかったわ…
私あなたに期待してるのよ
だから辞めてしまったらあなたのこれからの道が自分の目で見れないなぁ、てちょっと残念だったの」
「ほんとですかっ!?
ありがとうございます!」
「本当よ、じゃあ頑張ってね」
「はい!」
葉月さんはそう言うと、こつこつとヒールの音を響かせて離れていった。
凜とした後ろ姿が出来る女、ていう感じでかっこいい。
あたしも、あんな大人な女になれるといいな
って、こうしてる場合じゃなくて!
早く社長室に言って報告しなきゃ
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