無理に笑おうとしない、
大事なのは笑顔じゃない、
翔くんの言葉を頭のなかで繰り返し呟いて動く。
片方の手は、繋いだまま。
きゅっと強く繋いで背中合わせになると、二人でカメラのほうを向いた。
そのままパシャ、とシャッター音が響いて、カメラテスト終わり。
最後の一枚、自分が笑ってないのは明らか。
でも、引きつっていないのも、明らか。
これが今のあたしの精一杯。
それも、翔くんの言葉をもらってできた、精一杯。
でも、悔いはなかった。
落ちるの確定だけど、
クビになるの確定だけど、
受けてよかった。
「ありがとうございました」
審査員さんとカメラマンさんに頭を下げて。
席に戻るために繋いでた手を離すとき、一瞬だけ握りなおして離した。
ありがとう、翔くん
ごめんね、手伝ってくれたのに
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