「うわぁ…」
今日は女子高生に人気のブランド「arcano」の夏の専属モデルのオーディション。
どんな子でも輝くような、シンプルなのに女の子らしいデザインが今ほんとに人気で、オーディション会場には他のオーディションとは比べ物にならないくらいの人がいた。
こんな大勢の中から一人しか選ばれないんだ…。
いままでの「arcano」は毎回、2人の専属モデルいたんだけど、今回だけは、説明文に募集は1人だと書いてあった。
よく見れば有名なモデルさんとか、今人気のモデルさんとか、他にもいろいろ、見たことのある人がいっぱい。
選ばれた人は、とっても魅力があるんだろうな…。
キョロキョロと会場を見渡しながらそう思った。
…っ、だめだめっ!
受かる気持ちで挑まないと!
すぐ我に返ってマイナス思考を振り払うように小さく頭を降る。
もしかしたら受かるかもしれないんだからっ!
もしかしたらって言ってる時点でだめなんだろうけど。
止まらないマイナス思考に嫌になりかけていたとき、扉が開いて審査員たちが入ってきた。
ざわざわしていた会場が一気に静かになる。
4人、5人と続き、最後に入ってきた人物に、再び会場がざわついた。
え、あれって…。
うそっ。
どういうこと!?
あたし勝てる気がしないんだけど。
みんなにこやかな彼女に釘付けだ。
その人物は、
小傍唯、
つまり翔くんだったのだ。
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