早朝、夏らしい爽やかな風を受けながらポストの郵便物を見る。
最近のあたしの習慣。
新聞とか、家族の分を分けながら、橋本梨唯様、とかかれた封筒を見つけてドキドキしながら開けると…。
「……またか…」
今回はご縁がなかったということで…、と遠回しに不合格と明記された文書を手に、がっくりと肩を落とした。
これも、最近のあたしの習慣だったりする。
あたしがシャイニング事務所に入ったのは、夏休みに入ってから。
ほんとは高校入ったらすぐ入りたかったんだけど、思いのほか忙しくて、夏休みからになった。
でも事務所に入ったからといって仕事がくるわけはなく、オーディションを受けまくっていますが、来るのは不合格の通知ばかり。
しかも、近いから、という理由で入ったシャイニング事務所は厳しくて、あたしは準所属という、仮所属だ。
「14敗だぁー」
オーディションにことごとく落ちる理由ははっきりしてる。
…それ1つだけじゃないと思うけど。
どうしよう、どうしたらできるようになるんだろう
と考えても全然いい答えは浮かばず、オーディションを受けても一歩も前に進めない。
「…がんばろ」
とりあえず呟くと、今日受けるオーディションのために準備することにした。
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