リボーン来る





重苦しい部屋の中。

みんなが深刻な顔をして、誰も口を開こうとはしない。

そんななか、リボーンだけは何か考え事をしているのか、口に手をあて、俯いている。



「………」

「………」

「………」









菜乃佳がリボーンの前で泣いていたとき、突然リボーンが苦しみ始めた。


胸あたりを押さえて体をくの字に曲げるリボーンは、今までに見たことがないくらい辛そうで。

そういえばリボーンの体にとってこの空気は駄目だったと思い出し、急いでアジトの中に運び込んだのだ。



そしてついさっき、リボーンに全てを話終えた。

つまり、リボーンは、10年後に死ぬ、という事実を突き付けられたのだ。


そんな人が物思いに耽っているのに誰が話かけられようか。






そのまま時間は流れ、

数十分の沈黙のあと、最初に言葉を発したのは、やはりリボーンだった。




「……もとの世界に戻らねえ…」


「…あ」

「…そういえば」



10年バズーカに当たった場合、10分後には元の時代に戻れるはずだ。

なのに、菜乃佳がリボーンを見つけてからとうに1時間は越えている。

「…おかしい」

「…故障か…?」

「そんな…初めて聞いたよ」

「故障なんかあるのか?」

「なんとかしろ、アホ牛…っていないんだった…」

「どうしよう…」


「…まぁいいぞ」


みんなが悩み始めるが、リボーンは何故か落ち着いていて。


「いいの?」

「あぁ、こんなときに俺が来たのは、そしてバズーカが壊れてたのは、必然だったのかもしれねぇ
だったら、帰ることよりも、ボンゴレの状態をどうにかしねぇとな」


淡々と言うリボーンに、なんともいえない気持ちが胸に広がる。

それは涙に変わって溢れ出す。

最近、泣いてばっかりだ。
そんな自分が嫌になるけど、止まらなかった。


「…ツナだって俺の生徒だ
そんな簡単にくたばったりしねぇよ
だから菜乃佳、負けちゃ駄目だぞ」


白蘭が菜乃佳のとこに来たことは誰にも言ってないのに、リボーンの言葉はそのことを知っているような感じで、

何気なく言った言葉だろうけど、少し、救われた気がした。