その日はきれいな空だった。

何かが起こりそうな、空だった。


















「じゃあ俺行ってくんな」


「早く行け、野球バカ」


「いってらっしゃい
気をつけてね、このへんまでモスカが着てるみたいだから」


「大丈夫だって!
ミルチが見つかんなかったら帰ってくるな」



にかっと笑った武は大きな手で菜乃佳の頭を撫でると出ていった。



「菜乃佳、髪がぼさぼさだぞ」


「あ、もう…
ありがとう、リボーン」



撫でられてぐしゃぐしゃになった髪を軽く整えながら、玄関を見つめる。


最近では、白蘭が菜乃佳を探しまわっているのか、いろんな所にモスカが現れるようになった。


アジトは特別なことをしないと見えないようになってるから大丈夫だけど、菜乃佳のせいで並盛に危険が及んでるんだと思うと苦しくなる。



「…菜乃佳、」


「ん?」


「なんか余計なこと考えてないか?」



リボーンに探るような目で見つめられてびっくりする。



「…リボーンには適わないなぁ…」


「考えるだけ無駄だぞ」


「うん、わかった」



曖昧に笑って頷く。
何でも見抜きそうなリボーンの瞳は、まだ菜乃佳を見てたけど、目を反らして逃げた。