嫌な来客





みんなが帰ってくるまで何も出来ないことがもどかしくて、何かあったとき、すぐ連絡がとれるようにリビングに来ていた。

しばらく机に突っ伏していると、突然、開かれたままの隼人のパソコンから強い光が溢れる。

パッとうつしだされた光は何重にも重なって、まるで本当にそこにいるかのように立体的に白蘭を現した。



「やぁ、菜乃佳チャン
今なら君は一人だろうと思って会いに来たよ」



にこにこと何を思っているのかわからない笑顔で話す白蘭を菜乃佳は睨みつけた。

そうしないと泣き出してしまいそうだった。



「何の用」


「やだなぁ、菜乃佳チャン
そろそろ僕の物になる気になったかなと思ってね」


「…」



無言の菜乃佳に白蘭の笑顔が厭らしく深くなる。



「もう僕の強さは分かったでしょ?
綱吉クンにも勝ったんだ
この世界に僕より強い人なんかいないよ」



この言葉は暗に、今戦っている奴らは全員殺せる、と言っているようで。


胸に黒い鉛のようなものが落ちてきた気がした。




「…考えさせて」



絞り出すように言った菜乃佳の言葉を聞き逃さず、にやり、と言うのがふさわしいような白蘭の笑顔は一生忘れないと思った。