…誰かこの状況から助けてほしい。 切実に。 どうしよう どうしよう どうしよう 今、俺絶対顔赤くなってる。 下を見れば、スヤスヤと眠る莉奈。 幸せそうに寝やがって。 心の中で悪態をついて見つめるも、起きる気配は全くなく、ただ少し開いた唇が甘そうだと思った。 なぜこうなった、と思い返せば、さかのぼること30分前。 俺が、いつもの机ではなく、客人用の机─つまり、数人が並んで座れるくらいのソファーに座って書類を片付けていたときだった。 「ツナー」 「…んー?」 莉奈が入ってきた。 俺の姿を見て一旦止まり、何か考えるような素振りを見せたかと思うと、おもむろに口を開いた。 「ね、ツナ ちょっと借りるね」 多分、莉奈はこんなことを言ったんだと思う。 珍しく仕事に集中していた俺はあんまりよく聞いてなくて、なんとなく頷いた。 そしたら莉奈は、俺の座るソファーに横たわって眠り始めたのだ。 しかも、なぜか俺の膝枕で。 「は…?、えっ、あ、はぁ?」 「…おやすみ、ツナ」 突然感じる重みに思考がついていかない俺に、もうすでに半分寝ている声で言うもんだから、何も言えず今の状況にいたるということだ。 つまり、莉奈は今も俺の膝枕で眠っている状態。 仕事に集中できるはずがなく、 ずっと莉奈の寝顔を眺めていた。 重みを感じる太ももが敏感になってる。 …てか、 無防備すぎるだろ。 それだけ安心してるってことか? いやいやいや、俺いちお男だし、好きなやつが自分の膝枕で眠ってるって…。 だいぶキツいんですけど。 なんとかしてこの状況から抜け出そうと、莉奈の頭の下に手を差し込ん…、 …差し込む直前、手が柔らかい髪に触れただけでピク、と反応した莉奈が俺にとっては毒だ。 「〜〜っ、…はぁ」 手をだしたい衝動をなんとか抑えると、目を覆うように手を持ってきて、大きなため息をひとつ。 てか何で俺がこんな我慢しなくちゃならないんだよ! 沸々とイライラが湧いてきた。 ちょっとやり返してやろう。 いまだ起きる気配のない莉奈の頭を少し抱えて、しっかり顔を固定して。 「……ん、ふ……んぅっ!?」 薄く色付く甘そうな唇に噛みつくようにキスした。 そのまま、少し開いていた口から下を差し入れて莉奈のそれを絡め取る。 「んーっ、んーーっ!!」 起きた莉奈が俺の胸を押して抵抗してくるけど、力はどんどん弱まって。 完全に抵抗するのを止めるまでキスし続けた。 反論さえ呑みこんで (ぷはっ……はぁ…はぁ…、何っ!?) (起こしただけ?) (…っ、キスで起こすなー!) (しかたないじゃん?) (仕方なくな…んっ) (ね。) (ね、じゃなぁーい!!) title 確かに恋だった |